目標達成に有効な「セルフコントロール」って?

「学校の試験や資格試験がもうすぐなのに、つい携帯をいじってしまう」

「ダイエットのために続けようと思っていた運動が続かない」

このように何かしようと思っていることや、習慣づけたいことがあるのに、なかなか取りかかれなかったり、継続できなくて悩んでいる方はきっと多いのではないでしょうか。

そんな時に役立つのが「セルフコントロール」です。

今回は、目標を達成するためのセルフコントロール法についてご紹介します。

目標達成にセルフコントロール

セルフコントロールって何?

セルフコントロールとは、自分で心身の状態をコントロールすることを言います。自制心と言ったら分かりやすいかもしれません。

セルフコントロールすることにより、自分の目標や願望、また課題などが達成しやすくなります。プロテニスプレーヤーの錦織圭選手も、このセルフコントロール力を身につけ、大きく成長したと言われています。

セルフコントロールが注目されるきっかけとなった「マシュマロテスト」

セルフコントロールが注目されるきっかけとなった実験があります。この実験は「マシュマロテスト」と言われ、アメリカの心理学者であるミッシェルらの発案に基づき、行われました。実験は以下の通りです。

セルフコントロール マシュマロテスト

4歳から5歳の子どもたちを対象に、「目の前のお菓子を15分間食べるのを我慢できたら、2個にしてあげる。でも途中で食べてしまったら、2つ目はあげないよ」と伝え、席を外して様子を見ました。

すると、皆最初は「待っている」と約束するものの、被験者が戻る間、「お菓子を食べたい」という誘惑から逃れようと、様々な工夫を始めました。

ある子は、お菓子を見なくてすむように顔を伏せたり、またある子はお菓子から気をそらすために、歌を歌ったり…。

結果的に、最後まで食べないで我慢できた子どもは約3分の1だったと言います。

その後もミッシェルは、お菓子を我慢できなかった子どもたちと、我慢できた子どもたちを追跡調査しました。その結果、我慢できた子どものグループの方が、その後、学校で「優秀」と評価されることが多いことが分かりました

また、実験の18年後、大学進学適正試験(SAT)では、お菓子を我慢できなかった子たちに比べ、我慢できた子どもたちは平均210点ほど点数が高いことも分かっています。この結果を受け、セルフコントロール力は、思春期以降の学力、またそれ以外にも社会的適応やメンタルヘルスの問題とも関連するのではないかと考えられるようになりました。

「するコントロール」と「しないコントロール」

セルフコントロールには「するコントロール」と「しないコントロール」があります。

するコントロール  ⇒ 努力のセルフコントロール

しないコントロール ⇒ 我慢のセルフコントロール

と考えると分かりやすいかと思います。

ちなみに先ほどのマシュマロテストは、「しないコントロール」に当てはまります。

ただ、我慢だけのセルフコントロールに頼ると、誘惑に負けた時にはなかなか目標にたどりつけません。そこで、努力の「するコントロール」の力が必要になってきます。

例えば、ダイエットをしたい時には、食べる量を少なくしたり、間食を我慢するだけではなく、身体を動かすことが重要だということです。また、「するコントロール」よりも「しないコントロール」の方が学習が難しく、なかなか維持することができないことも明らかになっています。

ですので、私たちが何か目標を達成したいと思った時には、しないコントロールではなく、するコントロールに重きを置いた方が、維持しやすいと言えるでしょう。

目標を達成するためのセルフコントロール法とは?

他にも、日常に取り入れられるセルフコントロール法があります。

・目標を段階別に細かく設定する

「目標は高く設定した方が良い」と言う人もいますが、あまり高い目標を最初から掲げたら、せっかくのやる気もなくなってしまいますよね。

先ほどのダイエットを例に挙げて考えてみましょう。例えば、「毎日2時間運動した場合、半年で10キロ痩せられる」とします。10キロ痩せられるのは魅力的かもしれませんが、毎日2時間の運動を継続するのはなかなか大変ですよね。

このように、例え望ましい結果が期待できるものだとしても、そのハードルが高かった場合、人の「行動」には結びつきにくいでしょう。やる気を出すためには、「自分はここまでは出来そうだ」という自信も必要なのです。

この自信のことをカナダの心理学者バンデューラは自己効力感と呼んでいます。この自信を高めるために有効なのが、目標を段階別に細かく設定すること。

そうすることで、目標が達成可能となりコツコツと小さな成功体験を積み重ねていくことができます。また、細かく設定することにより、その日にやらなくてはいけないことも明確になります。

さらに、その目標をメモなどに書いて、自分の目につくようなところに置いておくとより効果的です。

・「If then(もし~だったら~する)」という自分の決まりを作る

目標を立て、やらなくてはいけないことがはっきりしたら、「If then(もし~だったら~する)」で自分の決まりを作りましょう。

ダイエットなら「間食したら20分運動する」といった具合です。また、「誰かに怒りを感じたら10数えてみる」「緊張してしまったら深呼吸をする」など、目標達成以外にご自身のメンタル対策としても活用できます。

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「If then」で作った決まりを繰り返すうちに、それが習慣化され、セルフコントロールが必要な場面で自然に発揮できるようになりますよ。

・達成状況を記録する

先ほど、目標達成のためにはメモを書いて、目の届くところに置いておくとよいとお伝えしましたが、こちらも同様です。もし小さな目標を達成できたら、それを目に見える形で記録しておきましょう。

そうすることで、目標の達成状況が一目で分かります。1番良いのは、第三者も見ることができる場所に堂々と貼りだしておくこと。周りから応援してもらえば、きっとあなたのモチベーションも高まるはずです。

セルフコントロール能力を高めるためには、マインドフルネスも有効!

セルフコントロール力を高めるためには、「マインドフルネス」も有効と言われています。

マインドフルネスは、「今この瞬間」に心を向けることを言います。瞑想とヨガを基本とした治療法で、セルフコントロール能力を高めるだけでなく、ストレスのコントロールや集中力を高めるのにも役立つことが分かっています。

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意識や行動をちょっと変えるだけで、きっとセルフコントロールしやすくなるはずです。

ぜひ、皆さんも今回ご紹介したセルフコントロール法を日常に取り入れてみてくださいね。