共感疲労とは?~他人の不幸を見ていられないあなたへ

昨今、自然災害や大事故などが多発しています。テレビをつけると、その様子が逐一映し出されたり、被害を受けた方へのインタビュー映像が続いたり…。

皆さんは、それらを見ていて、いてもたってもいられない気持ちになることはありませんか?それは、あなたが「共感」しているという証しです。

「共感」とは、相手が感じていることを自分のことのように感じ、寄り添うことが出来る力のこと。

コミュニケーションをとる上でも大切な力ですが、今回は、この「共感」が限度を超えたときにもたらす影響を考えてみましょう。

共感疲労とは

共感疲労は誰にでも起こり得る

他者の苦しみや悲しみに接したとき、感情移入しすぎてしまい、心身が疲弊して無気力状態に陥ってしまうこと「共感疲労」といいます。

この「共感疲労」、実はテレビを観ているだけでも起こることがあります。例えば、自然災害のニュースを見ていて、涙が止まらなくなるほど心が苦しくなり、辛くなるなど…。

それでも、ほとんどの方はテレビから離れることで、自分の日常生活に戻ることができます。しかし、中には気持ちがなかなか切り替えられない方もいます。

悲しみの感情が自分の日常生活にも入り込み、まるで自分が当事者であるかのように心身が不安定になってしまうことがあるのです。

時には、うつ症状やパニック症状などの不調をきたし、会社や学校に行けなくなるような場合もあります。

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優しさゆえに、悩み過ぎてしまうのです。あなたにも、心当たりはありませんか?

共感疲労を起こしやすい人は?

共感疲労を起こしやすい人は、感受性が強かったり、何事にも敏感な性格だったりする場合が多いようです。また、職業でいうと看護師介護士などが共感疲労を起こしやすいと言えるでしょう。

他人のことを、自分のことのように考えられるのは長所です。他人の痛みや苦しみを思いやることで、相手に寄り添ったケアが出来ます。

ただ、それが受け入れがたい大きな苦しみであれば、個人で向き合うのは困難になります。例えば、自然災害などで受けた被害は、いくら個人が懸命に対処しようとしても、すぐに改善するものではありませんよね。

そうして、頑張っても頑張っても抜け出せない状態が続くと「共感疲労」を起こしてしまうのです。

感受性が強く敏感な性格の人以外にも、過去のトラウマを背負っていた場合には、そのトラウマの記憶が呼び起こされることで、共感疲労を起こしやすくなります。

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PTSDは、「Post Traumatic Stress Disorder」の頭文字をとったもので、「心的外傷後ストレス障害」と和訳され、過去のショッキングな出来事がよみがえることで起こる、様々な障害のことを指します。

もしも共感疲労に陥ったら…

もし、誰かに共感するあまり疲れてしまったら、どうすれば良いのでしょうか。回復させるには、大きく分けて、積極的な方法と、消極的な方法があります。

◆積極的な方法

悲しみや苦しみを自分以外の誰かと共有する方法です。周囲の人に話すことで、現実や自分に意識が向けられ、自身の心を癒すことが出来ます。

◆消極的な方法

無理をせず、時間の経過を待つ方法です。特に睡眠は大事です。眠れなくても横になったり、睡眠に関する薬を医師に処方してもらうと良いでしょう。

また、気持ちの上で、他者と自分との間に境界線を引くことも必要です。「ここから先は自分の問題ではない」と、区切りをつけるようにしましょう。この境界線を引くことは、冷淡なことでも悪いことでもなく、自分と他人を守るために大切なことなのです。

他人の心の拠り所になることも大切ですが、自分自身の避難所も、心の中に持つようにしてくださいね。

「共感疲労を起こしているかも…」という方は、ストレスケアについて学べる通信講座もありますので、ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。「心とは何か」や「メンタル疾患」について学ぶことができるので、きっと役に立つはずですよ。

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