もちろんミスをしたのは相手なので、多少厳しいことを言う必要があるかも知れませんが、想像以上に相手が落ち込んでしまったりすると、あなたの中に罪悪感が…なんてことも。
どうすれば、相手の気持ちに配慮してミスを指摘したり、言いにくいこを指摘したりすることができるのでしょうか。今日は、カウンセラーが活用するコミュニケーション方法の1つ、PNP法をご紹介します。
PNP法とは?
PNP法は、行動科学から生まれた、相手と上手くコミュニケーションをとるための方法です。特に、ミスの指摘など、相手に言いにくいことを伝える時に役立ちます。
PNPのPは、「positive」、Nは「negative」、そして最後のPも「positive」を表します。つまり、日本語で言うと、まず「良い点をほめる」、次に「悪い点を指摘する」、最後に「良い点をほめる」という伝え方です。悪い点だけでなく、良い点も伝えることで、相手をフォローすることが出来ます。
似た方法に「イエス・バット方式」という方法があります。これも、いきなり断るのではなく、「そうですね(yes)、それも良いと思います。」「しかし(but)、私はこの点が気になります」等、相手の提案を一部認めてから断る方法です。PNP法では、最後にもう一度、相手を気づかうことを加えます。
日常生活に活かすには?
では、どのように、会話にPNP法を取り入れていけば良いのでしょう。例えば、職場の先輩と後輩で考えてみましょう。
先輩「会議の資料まとめ、ありがとう。短時間で、よくこんなに上手くまとめられたね」→positive(良い点をほめる)
後輩「ありがとうございます」
先輩「それで、ここの表なんだけど、数字が少しおかしいみたいだから、もう一度確認してもらえるかな」→negative(悪い点を指摘)
後輩「え!あ、あ、すみません!」
先輩「大丈夫。他は文章もグラフも上手く仕上がっていたからね。ここだけ手直しお願いね」→positive(良い点をほめる)
このように、最初と最後を「ほめる」のです。ほめ言葉で短所をサンドイッチにする、というニュアンスがあるため、別名「サンドイッチ法」とも言われています。
ほめるのは、ささいなことで構いません。考え過ぎず、実践してみてください。
Pばかりの人、Nばかりの人
中には例外もあります。
せっかく、PNP法で「ほめる」ことを増やしても、「悪い点を指摘された」という点だけが頭に残ってしまう人がいます。うつ病など精神的に参っている人の場合です。「指摘」されたことばかりが気になってしまうため、PNP法の効果は見込めません。PNPのNばかり頭に残ってしまうのです。症状を悪化させる恐れもありますので、その人の精神的なコンディションが戻るまで、指摘は避けましょう。
反対に、PNPのPばかりが頭に残ってしまう人もいます。自己愛が強過ぎる人は、指摘(N)はすぐに忘れ、ほめられたこと(P)ばかり残ります。ですが、機嫌が良いときは、欠点を受け入れやすい傾向にあるので、そういう時を見計らって、根気強くPNPを試してみてはいかがでしょうか。
PNP法は、職場だけでなく、家庭、友人関係等、様々なシチュエーションで応用できるテクニックです。ぜひ使ってみてくださいね。