季節性うつと冬季うつ

パニック障害の原因、またその治療法は?

皆さんは、「パニック障害」という病気をご存じですか?

最近では、芸能人やアイドルグループのメンバーが相次いでパニック障害となり、ニュースでも取り上げられていたので、名前を聞いたことがあるという方も多いのではないかと思います。

今回は、このパニック障害についてご説明していきます。

パニック障害ってどんな病気?

パニック障害は、突然激しい不安と共にパニック発作(不安発作)に襲われる病気です。パニック発作として表れる症状は、激しい動悸、発汗、息切れ、呼吸困難、めまい、吐き気など様々です。

パニック発作自体は、30分(長くても1時間)程度で治まることが多いのですが、発作が起こっている時は、「このまま死んでしまうのではないか」「頭がおかしくなってしまいそう」などと強い恐怖を感じます。

また、パニック発作には反復性があり、人によってその頻度は変わってきます。1日に何度も起こる人もいれば、1週間に1度の割合で起こる人もいます。

そして、何度もパニック発作を経験するうちに、発作がまた再発するのではないか、人前で発作が起きたらどうしよう、などという予期不安に襲われます。

パニック発作は、自分ではいつ起こるか分かりません。自分でコントロールすることができないため、不安や恐怖がどんどんふくらんでいってしまうのです。

パニック障害と広場恐怖症
狭い空間では、不安や恐怖が起こりやすい

発作が起きた時に、その場から逃げられないと妄想するようにもなります。例えば、エレベーターや、電車などの狭い空間にいる時や、そのような場所にいることを想像しただけで、不安や恐怖が起こる広場恐怖症を併発することも多くあります。

広場恐怖症は、以前は、パニック障害の関連疾患として扱われていましたが、今回改定されたDSM-5から、別々の疾患として取り扱うようになりました。

※DSM-5…米国精神医学会が作成する、精神疾患や精神障害を分類したマニュアルの第5版

パニック発作時の苦しみが原因で、外出することが困難になり、行動範囲や生活環境が狭められ、その結果、うつ状態になってしまうこともあります。

パニック障害になりやすい人、また、その原因は?

パニック障害は、男性よりも女性に多く、20~30代に発病することが多いです。

親がパニック障害にかかったことがある場合、その子どもも発病しやすいと言われています。また、幼い頃に親が離婚した、親と死別したなどの環境要因なども発症に関わっているようです。

パニック障害の原因としては、ストレスや過労、中枢・末梢神経の調節障害の関与などが考えられています。

それだけでなく、嗜好品や薬などもパニック発作を誘発することがあります。まず、第一に挙げられるのがカフェインです。

専門書の中には、たとえ一杯のコーヒーでもパニック発作の確率が上がると指摘されたものもあるので、普段飲み過ぎている人は注意した方が良いかもしれません。

ついつい飲んでしまいがちなコーヒーですが…

意外に思われるかもしれませんが、禁煙や、禁酒をすることによって、パニック障害が誘発されるという研究結果も出ています。

薬では、喘息治療薬(気管支拡張薬)やエストロゲン製剤(ホルモン剤)がパニック発作を誘発することがあるようです。

パニック障害の治療方法は?

パニック障害の治療は、抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法を基本として、認知行動療法などの心理療法を併用しながら行われます。予後は、比較的良好とも言われていますが、服薬は1年以上継続しなくてはいけないことが多いです。

認知の歪みと認知行動療法。物事の捉え方によって心の状態は変わる

それ以外にも、心身をリラックスさせる効果のある自律訓練法が取り入れられる場合もあります。

自律訓練法は、自分自身をコントロールすることによって、不安や緊張を和らげ、筋肉を弛緩させることで、自律神経の働きのバランスを整えていくものです。治療として行う場合は、医師や臨床心理士などの専門家の指導のもとに実施されます。

参考臨床心理士とは?資格や仕事の内容、インタビュー等

パニック障害の治療で大切なことは、発作を必要以上に怖がらないようにすることです。発作が起こるのではないかと心配しすぎたり、発作が起こった時に慌てたりすると状態は悪くなってしまいます。

また、空腹、睡眠不足、疲労なども症状悪化の要因となりますので、生活習慣に気をつけることも必要です。パニック障害は、放っておいたり、適切な治療を受けないでいると、慢性の経過をたどります。

ストレスを溜めないように、リラックスする時間も必要です

発作を経験し、予期不安を感じる時には、早めに心療内科や神経科、精神科などの病院を受診し、適切な治療と生活指導を受けるようにしましょう。

パニック障害を発症すると、日常にも少なからず支障が出てきます。そのため、仕事を続けるのも難しいと感じるかもしれません。しかし、働き方を工夫すれば、継続できることもあります。

パニック障害の症状には個人差があるので、発症後の働き方を決める時は、医師に相談して下さい。