帰ってきた子どもに
初めての保育園・幼稚園で、「競争」を経験して傷ついたり、「協調」を経験して我慢したりしながらも、精一杯乗り越えて、子どもたちは親の元に戻ってきます。そんな時、親としてどう待ち受ければ良いのでしょう。
共依存の親子関係
もし、「外の世界は危険だよ、お母さん(お父さん)のところが一番安全だよ」「あなたを愛しているのは私だけ」といったメッセージを与え続けたらどうなるでしょうか?
一番信頼している親からそう言われたら、子どもにとって社会は安心できないものになってしまいます。そのため、子どもは親から離れようとせず、いつまでも甘えて親にべったりくっつくことで自分の安全を確保しようとするでしょう。
そのままいけば、自分のことは何でも親にやってもらい、うまくいかないことがあれば全て親のせいにする、依存心の強い子どもに成長しかねません。乳児期であればそれでもいいのですが、幼稚園に上がる年齢になっても親から離れられないようでは、集団生活を送ることができませんよね。
共依存とは
しかし子どもと接する際、どうしてもこのようなメッセージを発してしまうという親もいるでしょう。親として成長は嬉しい半面、子どもが社会に出ることを恐れ、見捨てられたように感じてしまうという親もいます。もしそのような感情を止められない場合は、親子の共依存になっているかもしれません。
共依存とは、いわば人間関係に対する依存症です。誰かに頼られることに自らの存在意義を見出しており、その相手に「必要とされなくなること」は「自分の存在を認めてもらえないこと」なのだと錯覚しています。そして、相手のために自分の人生を捧げますが、自分の思い通りに相手をコントロールしようとするのも特徴です。
親子関係は共依存になりやすい?
親子関係で共依存が起こるのは、親自身が精神的に自立しておらず、子どものために自分の人生を捧げてしまう場合です。
産まれたばかりのころは、子どもは自分では何もできませんから、親をはじめとする養育者が世話をしなければ生きていけません。生きていくための術として、子どもは親に甘え、依存します。それは正常な発達の過程であり、ここで親との愛着関係をしっかり築くことが、その後の成長を支えていくのです。そして成長するにつれ自分でできることが増え、子どもは親の手から少しずつ離れていきます。
ここで親が共依存に陥っていると、子どもの発達を受け入れられず、常に自分に依存させようとします。上記のように「外の世界は危険だよ、お母さん(お父さん)のところが一番安全だよ」などと子どもを脅して、子どもをコントロールしようとします。
こうして育てられた子どもは、知らないうちに自分の人生を親に奪われ、自己肯定感(自分を肯定できる感覚)のないままに成長します。
共依存に気づいたら
共依存があることで、親も子どもも苦しい人生となってしまいます。悩みに気が付いた時点で早めに対処し、適切なタイミングで親離れ・子離れができることが理想ですが、もし難しい場合やどうしたらいいかわからないときは、専門家に相談することをおすすめします。
各自治体の子育て相談窓口やおでかけ広場などでも相談できますし、心理カウンセリングを受けてみるのもいいでしょう。
「おかえりなさい」の後に
子どもは、初めての保育園や幼稚園で、「競争」を切り抜け「協調」で我慢をしながら、一生懸命に頑張っています。子どもが帰ってきたら、どんな失敗をした日であっても、子どもが頑張ってきたことを労い、自己肯定感を回復してあげましょう。思い通りにいかないことがあっても、子どもの力を信じながら、長い目であたたかく見守ることが大切です。
また、初めての保育園や幼稚園は、子どもだけでなく、親にとっても初めての経験ばかりです。親も新たな社会との繋がりに緊張したり、うまくいかなくて悩んだりすることがありますが、気負わずに肩の力を抜いて、子どもと一緒に成長していくような気持ちで楽しみましょう。