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子供のストレスの原因と対処方法。学童期のSOSサインは?

公開: 更新: 執筆: 野島智司 ・カウンセラーライフ編集部 読了目安8分
子供のストレスの原因と対処方法。学童期のSOSサインは?
目次
現代社会は誰もがストレスを抱える時代。それは、子供であっても例外ではありません。

親や周囲の大人は、学童期の子供の抱えるストレスに対して、どのように気づき、支えていけば良いのでしょうか。

子供のストレスへの理解

「うちの子はまだ小学生だし、きっと、大した悩みなんてない」…そう思っていませんか?

「友だちと上手くいかない」「授業についていけない」「先生と合わない」「習い事で忙しく休む時間がない」…など、学童期の子供でも、大なり小なり悩みを抱えています。

大人にとっては些細な事と思えても、限られた小さな世界で生きている子供たちにとっては、想像以上に深刻な問題に感じているかもしれません。

実際、子供のストレスは深刻な社会問題となっています。厚生労働省の調査よると、5~9歳までの死因で5位以内に入っていなかった自殺が、10~14歳で第2位となっています。

参考平成28年(2016年)人口動態統計月報年計(概数))

また、日本の小中学生の自殺者数は8月下旬から9月上旬にピークになることがわかっています。つまり、夏休みが終わり、2学期が始まるまでの期間です。これらの結果から、以下のことが分かります。

  • 小学校中~高学年で、すでに生死にかかわるストレスを抱え得る
  • 子供のストレスの深刻な原因の多くが、学校生活に関係して生じている

ストレスは、自分で解決できたり、乗り越えられることであれば、必ずしも悪いものとは限りません。

しかし、子供の場合はストレスに対処するスキルは習得途中なので、未熟です。解決する能力も、自分で乗り越えられるかどうかの判断をしたり、誰かに助けを求めたりする力もまだ充分ではありません。

ですから、周囲の大人が子供のSOSに気づき、適切なサポートをしてあげることが必要不可欠なのです。

児童期の子供のストレスマネジメント

ストレス反応とストレスサイン

子供のストレスのサインに気付くには、まず、ストレス反応について知っておくことが大切です。

ストレスを引き起こす要因のことを、ストレッサーと言います。

ストレスを研究した心理学者、ラザルス(Lazarus,R.M)によれば、人はストレッサーに直面すると、次のようなプロセスを踏むとしています。

  1. そのストレッサーが自分にとってどの程度の脅威となるか、対処できるものかどうかの評価を行う。
  2. そのストレッサーに対する対処(コーピング)を行う。
  3. 対処が成功すれば、成功体験になり、上手くいかなければ、更なる対処が行われるか、ストレス反応が表れる。

ストレス反応として代表的なものは、怒りや悲しみ、不安などの情動的な反応や、頭痛や不眠などの身体症状などです。

具体的には、「表情が暗い」「友達と遊ばなくなった」「急に学力が落ちた」「よく頭痛や腹痛を訴えてくる」「ぼーっとしていることが増えた」「怒りっぽくなった」ということが現れます。これらのストレスサインに気づいたときには、何らかのストレッサーの存在を疑いましょう。

学童期の子供の場合、ストレスがあるということを本人が意識していないこともよくあります。そのため、なかなか悩みを相談してきません。特に男の子はその傾向があります。

急に情緒不安定になった、急に身体症状が表れたというように感じられるかもしれませんが、重要なサインですから、周囲の大人は見落とさないようにすることが大切です。

ただ、子供は時に、詮索されることを嫌ったり、親に心配をかけたくない気持ちから、悩んでいたとしても、すぐに相談してくれないこともあります。それでも、「あなたを心配している」「絶対にあなたを守る」「どんなことも受け止める」というメッセージを日ごろから伝えて、話しやすい雰囲気をつくって見守ることが大切になります。

ご自身のお子さんで思い当たる点があれば、学級担任に学校での様子を聞いてみたり、スクールカウンセラーなどの専門家に相談するなどしてみてください。

スクールカウンセラー

ストレスの対処法(コーピング)

では、子供達がストレスを抱えていたことにあなたが気づいた時、どの様な対処方法(コーピング)を実践すれば良いのでしょうか?

コーピングとは、ストレスへの対処方法のことですが、大別すると、問題中心型、情動中心型、気晴らし型の3つに分けることができます。

1.問題中心型のコーピング

ストレスを生み出す問題に対して、自力あるいは周囲の協力を得ながら解決したり対策を立てたりする方法です。自分の力ではどうにもならないような場合に、問題を回避する行動をとる(学校を休むなど)ということも、問題中心型のコーピングとなります。

2.情動中心型のコーピング

怒りや不満、悲しみを人に話すなど、自分の感情を表に出す行動です。反対に、感情を表に出さずに心の中に抑圧してしまうというのも一種の情動中心型のコーピングですが、感情を表に出す行動の方が後に深刻な問題に発展しづらく、望ましいと言えます。

3.気晴らし型のコーピング

スポーツをしたり、絵を描いたり、カラオケで歌ったり、自然の風景を眺めたり、ゲームをしたり…、いわゆる気分転換になることをして「ストレス解消」をする方法です。

 

これらのコーピングは、どれが良くて、どれが悪いと一概に決められるものではありません。

たとえば、取り返しのつかない失敗や、大切な人との死別や離別など、問題解決が不可能な場合には、問題中心型のコーピングは選べません。この場合は情動中心型のコーピングが有効でしょう。また、いつも問題中心型のコーピングばかりしてしまう傾向のある子供は、時には気晴らし型のコーピングをとることが大事になる場合もあります。

自傷行為や暴飲暴食なども、一種のコーピングと解釈することができますが、これらは明らかに有害な面があり、適切な方法に切り替えることが大切です。ただし、自尊感情が低くなっている可能性があるため、子供自身がその行動に至った気持ちは否定せず、適切なサポートをすることが必要です。

ストレス反応を軽減させるソーシャルサポート

コーピングは子供自身が行う対処ですが、親や周囲の大人のサポートも重要です。

同じようなストレッサーを経験しても、周囲からの社会的支援(ソーシャルサポート)が得られる場合には、ストレス反応が軽く済むことがわかっています。またソーシャルサポートの存在は、適切なコーピングを選ぶことにもつながります。

親として、どのようなサポートが行えるのか見ていきましょう。

このソーシャルサポートは、情緒的支援、情報的支援、道具的支援、評価的支援の4つに分けることができます。

情緒的支援

子供の気持ちに耳を傾け、理解しようとし、慰めたり、励ましたりすること。

子供の行動について良し悪しの判断はせず、「辛かったね」「大変だったね」など、子供の気持ちに共感を示しましょう。言葉掛けだけではなく、抱きしめる、そばにいるなど、行動で伝えることもできます。

自分の状況を理解し、肯定してくれる存在は、たとえ直接、問題を解決することにならなくても、子供にとって大きな支えとなります。

情報的支援

問題解決に必要な知識や、適切な解決方法について、アドバイスをすることです。

解決方法があることや、解決の仕方が分かることで、子供は解決に向けて行動に移すことが出来るようになります。

例えば、ケンカをした友達との仲直りのために、「手紙を書いてみたら?」と提案するなどです。

道具的支援

直接手を差し伸べて、ストレッサーを除去するのを実際に助けます。

特定の友人とのトラブルのような、ストレスの理由が明確な場合に有効です。例えば、話し合いの場をつくったり、間に入って、気持ちを伝える手伝いをするなどです。

評価的支援

子供が取った対処などに対して、適切な評価を与えたり、フィードバックを行います。

例えば、適切な行動が取れた時は褒めるなど、肯定的な評価をしたり、改善が必要な場合には何がどう上手くいかなかったのかを振り返ったりします。

 

ただし、身近な人物の場合、かえってこれらのサポートを行うことが難しいこともあります。子供が聞く耳を持ってくれなかったり、時には親などサポートする側が抱え込み過ぎて過度なストレスを抱えてしまうことにもなりかねません。

サポートをする側も、何でも自分だけで対処、解決しようと思わず、学級担任に相談したり、スクールカウンセラー、子供家庭支援センターなどの教育相談員など、第三者の専門家に相談することも重要です。

レジリエンスを高めておく

レジリエンスとは、困難な状況を乗り越えていく「心の回復力」です。

人は誰でも嫌な出来事、ショックな出来事を経験すれば、傷付き、落ち込むものですが、その後、立ち直れるかどうかは、このレジリエンスの高さに関係します。

これは、先ほどのコーピングを身に付けることでも高まっていくものです。

レジリエンスを鍛える~ハーディネスからレジリエンス(回復力)へ

親として、様々なサポートを行うことは出来ますが、最終的にストレスに対処するのは、ストレスを抱えた子供自身。親や周囲の大人はあくまで子供のストレス反応を軽減し、問題解決を手伝う立場にいます。

困難にぶつかってストレスにさらされたとき、解決に向かう糸口を自分で見つけるためには、子供が普段から「自分は価値のある存在」だと思えるよう、接することが大切です。

いつか、親の手を離れてもストレスに負けないよう、日ごろから子供のレジリエンスを高めることに気を配っておきましょう。

 

ひとは生きていく上で、ストレスに立ち向かう経験を積むことが不可欠です。今回紹介した情報を参考に、お子様や周囲の子供たちをサポートしていく際にお役立ていただければ幸いです。

子供とストレスマネジメント

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