学校に行きたくない、行けない…不登校の現状とその対応

不登校

様々な理由から、学校に登校することが難しくなっている子どもたちがいます。そして、誤解されている部分も、まだまだ多いのが現状です。

不登校とはどういった状態なのか、最近の状況をふまえ、理解を深めていきましょう。

不登校とは

文部科学省の定義によると、「なんらかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくとも出来ない状況にあるために、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」を不登校としています。

ただし、欠席が30日に達するまで、学校が対応を行わないということはありません。実際には、30日を待たず、不登校傾向があると判断され次第、対応は行われています。

学校ごとに異なりますが、例えば、連続して2~3日、あるいは断続的な欠席が続いていて、病気以外の理由があるのではと推測される場合には、家庭への連絡や家庭訪問を行うなどしています。

年度別に見た不登校

文部科学省の「平成 29 年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」を参考に、最近の傾向を見ていきましょう。

グラフから分かるように、不登校の児童・生徒は、小学校では、ほぼ横ばいであったのが、ここ5年は増加傾向に、また、中学校では、増減しつつも、直近の5年ほどは年々増加の状況にあります。

H29年度の調査では、全国の小学校で約3万5千人(185人に1人)、中学校で約10万9千人(31人に1人)、高校で約5万人(66人に1人)の生徒が不登校の状態にあるという結果になっています。

学年別に見た不登校

学年別に見ていきますと、小学校では高学年になるにつれ増え、更に中学入学後は、急激に増加していることが分かります。

一方で、高校になると、急激に減少します。これは、高校は住んでいる地域にある程度縛られずに選択できたり、入学後も通信制高校への転学が可能であったりと、負担の少ない環境へ移りやすいという理由がある一方、義務教育でないことから、退学となる場合もあるなど、小中学校とは異なる要因が関係しています。

不登校の原因

不登校の原因は、多くの場合、何かひとつだけ…ということはありません。小さな出来事の積み重ねや、色々な理由が複雑に絡み合った結果、学校で頑張るためのエネルギー切れの状態になり、不登校という状態として表れているのです。

では、具体的にどのようなものがあるのか、見ていきましょう。

【小学生の不登校の原因】

小学生では、「家庭の悩み」が最も多く、この中には、虐待の問題も含まれます。そして、かなり差のある形で「友人関係」「学業不振」が続きます。学業不振の背景には、発達障害がある場合もあります。

ただし、小学1年生の場合は少し特殊で、「母子分離不安」といって、母親と離れることに大きな不安を抱いている場合もあります。

【中学生の不登校の原因】

中学生になると、「家庭の悩み」と同じくらい、「友人関係」の悩みが多くなり、「学業不振」で悩む生徒も更に増えます。ここでいう「友人関係」の悩みとは、いじめに関係しないものです。いじめ自体の件数は少ないとは言えませんが、全体から見ると不登校の原因としては少ないという結果が、この調査では出ています。

【高校生の不登校の原因】

高校では、「学業不振」が最も多く、同じくらい「友人関係」が多くなります。大学受験のプレッシャー、高校の勉強についていけないということが考えられます。ただし、他の原因が元で、勉強に集中できていない場合もあるでしょう。一方、「家庭の悩み」は多少減少します。思春期が終盤に差し掛かり、親からの精神的な自立が進んでいることが考えられます。

しかし、これらは、各学校や都道府県の教育委員会に対して行われた調査結果です。果たして、実情を反映していると言えるのでしょうか?

そこで、もう一つ、別の調査の結果を見てみましょう。

次のデータは、NHKが無料通信アプリLINEを通じて、平成30年度当時に中学生だった1万8000人を対象に行った調査のうち、不登校の生徒378人から「学校に行きたくない」と思うようになった原因を複数回答で聞いたものの結果と、先ほどの文部科学省のデータを比較したものです。

このように比較してみると、特に、「いじめ」「先生との関係」「決まりや校則になじめない」の項目において、文部科学省とNHKの調査結果には、大きな差が見られます。

こういった差が生まれる理由には、いじめや、教員・学校を相手とした問題は、児童・生徒からは訴えにくいことであるために、学校側からは見えづらいということが考えられます。

文部科学省の調査上では数が少なくても、このような問題が児童・生徒達にとっては大きなことであり、実際に起こっているということを、意識しておかなければならないでしょう。

予防

では、不登校を予防するには、どうすれば良いのでしょうか?

不登校は、調査結果からもわかるように、「人間関係におけるストレス」から起こることが多いです。そのため、間関係をスムーズに築けるようなスキルを身に付けるサポートが大切です。

例えば、

  • 相手に自分の気持ちを伝える方法
  • 相手の話を聞く大切さ
  • 困った時の頼り方、助けの求め方
  • 関係がこじれた時の関係修復の仕方
  • 苦手な人との付き合い方

などです。

幼い頃から、コミュニケーションが上手く取れるように支えていきましょう。

また、ストレスがかかった場合に、解消する方法(コーピング)をいくつか身に付けておくことも大切です。

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そして、教員と良好な関係が築けていることも、予防に繋がります。場合によっては、学校と家庭との関係が上手くいかなくなる場合もありますが、子どもにそれが影響しないように気を付けましょう。

対策

不登校の傾向が現れたら、長期的な不登校にならないよう、なるべく早く対策を考えていくことが大切です。周囲はどのように、対応をすれば良いのか、考えていきましょう。

不登校に繋がるSOSのサイン

まず、子どものストレスに早く気づくことが大切です。一見すると、突然学校に行かなくなったと思われる場合でも、実は少し前からSOSのサインを出していることがほとんどです。例えば、次のようなことが見られたら、何らかのストレスを抱えている可能性があります。

【体調面】

  • 朝、起きられなくなった。
  • 頭痛、腹痛を度々訴えるようになった。
  • 微熱が続いている。

【行動面】

  • 学校や友達の話をしなくなった。
  • ボーっとしていることが増えた。
  • 怒りっぽくなった。
  • 情緒不安定になった。

これらの様子が見られたら、本人の話をじっくり聞いてみましょう。人に話を聞いてもらい、「つらかったね」「大変だったね」「頑張ってるね」などと認めてもらえると、少しストレスが解消されます。

幼い場合は、上手く言葉で伝えられない場合もあります。その場合は思いっきり、好きに遊べる時間を取ってあげると発散になるでしょう。また、学校での様子を、学級担任に聞いて、情報を集めてみましょう。

もし、学校を休みたいと言われたら?

どんなに対策を行っても、お休みすることになる場合もあるでしょう。その場合は、それだけ原因となるストレスが大きすぎて、これ以上頑張るエネルギーが持てない状態にあるということ。

まずは、エネルギー切れの状態を回復させることが大切です。特に疲れ切っている状態の時は、本人が何かに取り組める状態になるまでは、家庭の状況など、環境が許すのであれば、なるべく学校を休ませましょう。登校する場合は、保健室登校、短時間の授業参加にするなど、ストレスがかかりにくく、安心できる環境に置いてあげると、良いでしょう。

休ませると、「学校に行かなくても良いと子どもが思ってしまうのでは?」と心配になるかもしれませんが、「いつかは学校に行かなくてはいけない」ことは、本人も良く分かっている場合がほとんどです。

相談先を見つけましょう

それまで家族に相談して頑張ってきた子どもでも、ストレスが大きくなり過ぎて、それだけでは解消し切れない状態になっていることが考えられます。家庭以外にも自分の気持ちを話せる場所があると良いでしょう。

また、子どもが休むことが続くと、家族にも、徐々に疲れが出て来ます。家庭だけで抱えるのはとても大変ですから、家族も相談できる場所を見つけましょう。

【学校内】

例えば、学校内なら学級担任学年主任養護教諭、部活動顧問に相談してみましょう。もしも、学級担任や学校側に相談しにくいという場合は、スクールカウンセラーを活用してみて下さい。中立な立場で、守秘義務もありますから、安心して相談することが出来ます。親子で安心して相談できそうな人に相談してみましょう。

【学校外】

学校との関係が難しくなっている場合は、教育センター、子ども家庭支援センターなどの教育相談を活用して下さい。ただし、公的機関では、高校生を対象としていない場合もありますのでHPなどで調べてみて下さい。他に、不登校を支援しているNPO法人もあります。

【病院】

腹痛、頭痛、吐き気など、身体の症状がある場合は病院を受診して下さい。身体には異常がなく、精神的なものだとわかった場合は、児童・思春期外来など、子どもを専門に診察できる病院で診てもらうと安心です。薬について心配される保護者は多いですが、過度に心配せず、医師の指示に従って服薬することは治療には大切です。また、診断書を学校に提出することは、不登校の状況に対して、適切な配慮をしてもらう判断の一つにもなります。

心理的な原因で朝起きられないと誤解されやすいものに「起立性調節障害」という病気があります。自律神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなる疾患です。朝起きようとすると血圧が急激に下がり、フラフラと目眩がしたり、心拍数が上がったりすることがあります。病院で調べてもらうと良いでしょう。

参考社会福祉法人恩賜財団済生会一般社団法人日本小児心身医学会

家庭で出来るサポート

心身の状態が落ち着いたら、家庭内で出来ることから取り組んでみましょう。

・規則正しい生活を送る
早寝早起き、栄養のある食事を摂るなど、規則正しい生活は心身の健康に大切です。登校しないと決めた日も、生活のリズムは維持して下さい。

学校のことを話題にしたり、叱られたりすることが多いと、部屋にこもって昼夜逆転の生活に繋がりやすいです。なるべく、本人が敏感になる話題は避け、家族と一緒にいる時間を楽しめるようにすることで防ぐことが出来ます。

・勉強面のフォロー
勉強の遅れを本人が気にしてきたら、学級担任と相談して学校の課題をもらったり、塾や家庭教師を活用したりしましょう。

・家事のお手伝いを頼む
家事をさせることは、気分転換体力低下の防止、役割があることによる自己肯定感の向上に効果があります。軽いお手伝い程度からさせてみて、「上手にできたね」「助かったよ、ありがとう」などと褒めましょう。

・気分転換
学校を休んでいるのに、遊ぶのは…と、抵抗があるかもしれませんが、楽しいことの積み重ねで、心のエネルギーが回復していきます。音楽、漫画、アニメ、スポーツ、テーマパーク、コンサートなど、本人が楽しめる活動に参加させてあげましょう。ただし、中学生までは、子どもだけで出かけることがないようにして下さい。

些細なことでも、頑張った経験、成功した経験を積み重ねることが大切です。「学校には今は行けないけれど、何も出来なくなったわけではない」などと、不登校の状態にあっても、本人が自分自身を認めることができるようになっていくでしょう。

~ご褒美には注意が必要!!~

「○○を買ってあげるから、頑張って学校に行きなさい」「学校に行かないなら○○はさせてあげない」など、ご褒美で取引を行うことは避けて下さい。子どもは多くの場合、その条件を飲みますが、約束をした時は本気でも、達成できないことが多く、失敗体験となってしまいます。頑張った後にご褒美を与えるのは構いませんが、ご褒美で釣ろうとしないように気を付けて下さい。

対応に困った時は?

不登校が長期化してくると、家族としては様々な思いが沸いてくると思いますが、まず大切なのは、子どもの心身の状態をよく見ることです。

疲れている、気力がないような時には、まずゆっくり休ませてあげることが大切です。必要な休みの期間はそれぞれですが、長期化してくると「甘えではないか、厳しくした方が良いのでは?」と迷われるかもしれません。特に、具体的な対応が取れない時は焦りやすいものです。

ですが、まだ疲れている状態の時に、「明日から学校に行きなさい」などと言われてしまうと、子どもとしては「結局、辛さを分かってもらえていなかったんだ…」と、裏切られた気持ちになり、深く傷ついてしまいます。子どもにとって、自分の苦しさを親に理解してもらえているかどうかというのは、とても重要なことだからです。

迷った時は、子どもをよく見てみて下さい。休み始めの時よりも、少しずつ元気を取り戻せていたり、何も手に付かなかったのが、自分から取り組もうとすることが増えてきたりします。小さな変化かもしれませんが、少しでも前よりも良くなっている部分、出来るようになったことに目を向け、本人に「前より少し落ち着いてきたね」「元気でいられる時間が増えたね」などと、フィードバックしてみましょう。

最後に

不登校の解決方法は様々です。そして、本人が安心して次のステップを踏み出すまでにかかる時間もそれぞれ異なります。

自分の気持ちが分からない、考えたくないということから、この先どうしたいかを言えなかったのに、周りからあたたかいサポートを受けていく中で、ある日、急に学校に行けるようになる子がいます。また、ある程度休養すると、自分で気持ちを切り替え、転学をして新しいスタートを切れる子もいます。

どんな場合でも、本人の望む形で前に進めるようになるには、一人ひとりのその時の気持ちにしっかりと寄り添っていくことが大切です。


不登校などで困っている子ども達や家族のサポートについて学べる講座があります。

子どもから成人に達するまでの青少年と、その親のケアを目的としています。

講座を受講することで、SOSのサインを見逃さないよう、そして子どもがよりよく育っていけるようにサポートするスキルを身に付けることが出来ます。塾や習い事、学童保育室などで、子どもに関わる仕事・ボランティアをしている方、今後取り組みたい方にお勧めです。

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