ストレスマネジメント~学童期の子どものストレスへの対応

児童期の子どものストレスマネジメント

現代社会は誰もがストレスを抱える時代。それは、子どもであっても例外ではありません。

親や周囲の大人は、学童期の子どもの抱えるストレスに対して、どのように気づき、支えていけば良いのでしょうか。

子どものストレスへの理解

「うちの子はまだ小学生だし、きっと、大した悩みなんてない」…そう思っていませんか?

「友だちと上手くいかない」「授業についていけない」「先生と合わない」「習い事で忙しく休む時間がない」…など、学童期の子どもでも、大なり小なり悩みを抱えています。

大人にとっては些細な事と思えても、限られた小さな世界で生きている子どもたちにとっては、想像以上に深刻な問題に感じているかもしれません。

実際、子どものストレスは深刻な社会問題となっています。

厚生労働省の調査よると、5~9歳までの死因で5位以内に入っていなかった自殺が、10~14歳で第2位となっています。

参考平成28年(2016年)人口動態統計月報年計(概数))

また、日本の小中学生の自殺者数は8月下旬から9月上旬にピークになることがわかっています。つまり、夏休みが終わり、2学期が始まるまでの期間です。

これらの結果から、

  • 小学校中~高学年で、すでに生死にかかわるストレスを抱え得る
  • 子どものストレスの深刻な原因の多くが、学校生活に関係して生じている

ということが分かります。

ストレスは、自分で解決できたり、乗り越えられることであれば、必ずしも悪いものとは限りません。

しかし、子どもの場合はストレスに対処するスキルは習得途中なので、未熟です。解決する能力も、自分で乗り越えられるかどうかの判断をしたり、誰かに助けを求めたりする力もまだ充分ではありません。

ですから、周囲の大人による適切なサポートが必要不可欠なのです。

ストレス反応とストレスサイン

子どものストレスのサインに気付くには、まず、ストレス反応について知っておくことが大切です。

ストレスを引き起こす要因のことを、ストレッサーと言います。

ストレスを研究した心理学者、ラザルス(Lazarus,R.M)によれば、人はストレッサーに直面すると、次のようなプロセスを踏むとしています。

  1. そのストレッサーが自分にとってどの程度の脅威となるか、対処できるものかどうかの評価を行う。
  2. そのストレッサーに対する対処(コーピング)を行う。
  3. 対処が成功すれば、成功体験になり、上手くいかなければ、更なる対処が行われるか、ストレス反応が表れる。

ストレス反応として代表的なものは、怒り悲しみ不安などの情動的な反応や、頭痛不眠などの身体症状などです。

具体的には、「表情が暗い」「友達と遊ばなくなった」「急に学力が落ちた」「よく頭痛や腹痛を訴えてくる」「ぼーっとしていることが増えた」「怒りっぽくなった」ということが現れます。これらのストレスサインに気づいたときには、何らかのストレッサーの存在を疑いましょう。

学童期の子どもの場合、ストレスがあるということを本人が意識していないこともよくあります。そのため、なかなか悩みを相談してきません。特に男の子はその傾向があります。

急に情緒不安定になった、急に身体症状が表れたというように感じられるかもしれませんが、重要なサインですから、周囲の大人は見落とさないようにすることが大切です。

ただ、子どもは時に、詮索されることを嫌ったり、親に心配をかけたくない気持ちから、悩んでいたとしても、すぐに相談してくれないこともあります。それでも、「あなたを心配している」「絶対にあなたを守る」「どんなことも受け止める」というメッセージを日ごろから伝えて、話しやすい雰囲気をつくって見守ることが大切になります。

ご自身のお子さんで思い当たる点があれば、学級担任に学校での様子を聞いてみたり、スクールカウンセラーなどの専門家に相談するなどしてみてください。

スクールカウンセラー
学校内の相談室で、児童生徒や家族の相談に応じ、教職員のコンサルテーションを行う心理の専門家です。スクールカウンセラーという資格はありませんが、8割が臨床心理士で、それ以外に臨床発達心理士や心理学系大学院の修士以上、心理学系大学の教員などが勤務しています。今後は臨床心理士にかわり、公認心理師の資格が求められるとされています。

ストレスの対処法(コーピング)

子ども達が、ストレスを抱えているということや、ストレス反応について、ご理解いただけたでしょうか。

では、どの様な対処方法(コーピング)を身に付けていけば良いのでしょうか?

コーピングとは、ストレスへの対処方法のことですが、大別すると、問題中心型、情動中心型、気晴らし型の3つに分けることができます。

1.問題中心型のコーピング

ストレスを生み出す問題に対して、自力あるいは周囲の協力を得ながら解決したり対策を立てたりする方法です。自分の力ではどうにもならないような場合に、問題を回避する行動をとる(学校を休むなど)ということも、問題中心型のコーピングとなります。

2.情動中心型のコーピング

怒りや不満、悲しみを人に話すなど、自分の感情を表に出す行動です。反対に、感情を表に出さずに心の中に抑圧してしまうというのも一種の情動中心型のコーピングですが、感情を表に出す行動の方が後に深刻な問題に発展しづらく、望ましいと言えます。

3.気晴らし型のコーピング

スポーツをしたり、絵を描いたり、カラオケで歌ったり、自然の風景を眺めたり、ゲームをしたり…、いわゆる気分転換になることをして「ストレス解消」をする方法です。

 

これらのコーピングは、どれが良くて、どれが悪いと一概に決められるものではありません。

たとえば、取り返しのつかない失敗や、大切な人との死別や離別など、問題解決が不可能な場合には、問題中心型のコーピングは選べません。この場合は情動中心型のコーピングが有効でしょう。また、いつも問題中心型のコーピングばかりしてしまう傾向のある子どもは、時には気晴らし型のコーピングをとることが大事になる場合もあります。

自傷行為や暴飲暴食なども、一種のコーピングと解釈することができますが、これらは明らかに有害な面があり、適切な方法に切り替えることが大切です。ただし、自尊感情が低くなっている可能性があるため、子ども自身がその行動に至った気持ちは否定せず、適切なサポートをすることが必要です。

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