カウンセラーとして独立したい!…その前に。

カウンセラー 独立

ストレス社会の現代、心理カウンセラーの需要が高まってきています。スキルや資格さえあれば独立しやすい…と謳っているサイトも多くありますが、実際はどうでしょうか?

結論から言いますと、独立が簡単そうだし資格をとってみようかな、と考えてカウンセラーを目指すのはオススメできません。今回は、カウンセラーの独立開業について考えてみましょう。

心理カウンセラーとしての開業は誰でもできる!?

国家資格である「公認心理師」以外の心理士の資格は、「臨床心理士」も含め、全て民間資格です。しかし、公認心理師は2019年に第一号が生まれたばかり。現役の心理カウンセラー全てが国家資格を取得しているわけではありません。

実は、資格の種類有無に関わらず、「心理カウンセラー」を名乗ることは誰にでもでき、所定の手続きを済ませば開業することもできます。
※公認心理師および心理師という名称は、資格を取得しなければ肩書として名乗ることはできません。

心理カウンセラーは、カウンセリングに使える場所や機会さえ用意できれば、広い店舗などの物件を借りる必要はないため、すぐにでも開業できる職種と言えるでしょう。しかし、心理学の知識がほとんどない状態で、カウンセリングを行うというのは当然ながら、仕事にはなりませんから、その状態で開業するのはもちろん無理でしょう。一般的には何らかの民間資格を取得し、それをもとに心理カウンセリングの仕事を始める方がほとんどです。現在の仕事を続けながら、副業としてスタートする方も多くいらっしゃいます。

このようにしてカウンセラーのお仕事を続けていくと、そのうち『独立』への夢が膨らんでいくことがあるかもしれません。

でも、カウンセリングだけで儲かるの?

おそらく、独立を夢見るあなたが目指しているのは、成功を収めているカウンセラーの方々なのではないでしょうか?素敵なカウンセリングルームを持ち、カウンセリングはいつも予約でいっぱい…など。しかし、月収100万円以上などという心理カウンセラーは、ほんの一握りの成功者にすぎません。これは心理カウンセラーに限らず、どんな職種でも同じことですね。

例えば、クライアントと1対1で行う対面カウンセリングで独立開業するとします。料金設定は、1回1時間5000円の報酬としましょう。1日に行えるカウンセリングの回数が、多くても6回くらいだとして、1日合計3万円の収入を見込めます。単純計算すれば、1か月の収入は3万円×30日=90万円ということになりますね。かなり儲かると思うかもしれませんが、そう簡単には実現できないのではないでしょうか。

まず、開業当初から1日6回の予約を継続することは不可能です。独立開業して数年間は、予約が一日1件でもあればいいほうで、月に数件しか予約が入らない、ということは当たり前です。もしカウンセリングルームを借りている場合は、家賃の支払いが難しくなることも容易に想像できるでしょう。また自分の生活費も一定額必要です。安易な独立開業をお勧めしない理由はここにあります。夢を持って独立開業したカウンセラーのほとんどの方が、数年以内にカウンセリングルームをたたむことになるのは、やはり経済的な事情からなのです。

心理カウンセラーとして独立を考えているのなら

それでも心理カウンセラーとして独立したいと考えているなら、まずはしっかりと資金を蓄えておきましょう。また、資金以外にも準備しておかなければならないことがたくさんあります。

独立開業のための法的な手続きの他にも、屋号はどうするのか?自分が扱うカウンセリングの種類は?クライアントのターゲットは?カウンセリング料金の設定は?など具体的なことを自分一人で決断することが必要ですし、集客方法についても予めしっかり考えておかなければなりません。独立開業するとなると、自分は、カウンセラーでもあり、個人事業主でもある状態になりますから、経営スキルも大切なのです。

ですから、焦って独立開業するのではなく、まずは副業として心理カウンセラーの仕事をしながら経営スキルも学んでいくことをお勧めします。また、そうした経験を重ねていくうちに、自然とあなたの周りに、仲間や協力してくれる人が集まってくることでしょう。独立開業は、それから考えても遅くはありません。

最初の3年間は収入にならない可能性が大きいから、3年分の生活費を貯金してからか、アルバイトを確保するか、今の仕事を辞めずに2足のわらじを履くとかした方がいい。

恋愛カウンセラー、アレックス小倉氏インタビュー
Vシネマ監督、恋愛分析心理学講師、そして恋愛カウンセラー。異色の経歴をもつアレックス小倉さんに、心理カウンセラーを目指す方に向けてアドバイスをお聞きしました。

カウンセリングサービスの種類

一口にカウンセリングといっても、最近では、クライアントのニーズに沿った様々なスタイルがあります。独立開業する際は、どのようなカウンセリング方法でやっていくのかを決めましょう。

対面カウンセリング

クライアントと直接、対面してカウンセリングを行う方法です。軌道に乗るまではカウンセリングルームは、予約が入った時のみ貸し会議室などを借りたり、クライアントやカウンセリングの内容によってはカフェなどを使ったりすることもできるでしょう。クライアントと対面しますので、微妙なニュアンスや表情などの情報が多く得られることが最大のメリットです。ただ、他のカウンセリング方法に比べて、時間の制約や場所の確保が必須になってきます。

メールカウンセリング

クライアントとメールのやりとりでカウンセリングを行う方法です。遠方に住んでいたり、外出できない事情のあるクライアントにも対応できます。また他のカウンセリングに比べ、時間の制約が少ないため、双方が自分の都合のよい時間にカウンセリングを行えることもメリットの一つと言えるでしょう。しかし、メールによる文章の場合、微妙なニュアンスが伝わりにくく、誤解を生むリスクもあります。

スカイプカウンセリング

クライアントとスカイプを通じてカウンセリングを行う方法です。移動を必要としない自宅などで、カウンセリングをすることができ、予約を受け付ける日時も自分で決められますので、仕事や家事の空き時間を利用することができます。また、ビデオ式のスカイプでは、お互いの表情が見えますし、細かい言葉のニュアンスなども伝わりやすいと言えます。ただ、当然のこととしてカウンセラーはもちろん、クライアント側もスカイプを使用できる環境が必要です。

スカイプカウンセリングは、カウンセラーにもメリットがある

人間の心理への興味から、カウンセラーに転身
呉服の営業職からスクールカウンセラーを経て、働く人のためのEAPカウンセラーに。現在のカウンセリングのお仕事のスケジュールや、カウンセラーに向いている人、目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました

どんなカウンセラーになりたい?

さて、資格を取得し、知識を身につけ、経験を重ねることで、独立開業の夢が目の前に見えてきたあなた。改めて考えてみましょう。あなたは、どんなカウンセラーになりたいでしょうか?

いざ独立開業となると様々な準備に追われるだけでなく、集客への不安などで自分の本当の夢から離れてしまうことがあります。まずは、自分がどんなカウンセラーになりたいのかをしっかりと確認しておくことが大切です。おそらくそれまでの経験から、あなたの心には理想のカウンセラー像が見えてきているはずです。苦しんでいる人の役に立ちたいという気持ちはカウンセラーが共通して持っているものかと思いますが、それを含め、あなたが目指しているカウンセラーの姿をノートに自由に書いておき、忘れないようにしておきましょう。

独立開業して様々なクライアントと真剣に向き合っていけばいくほど、カウンセラーとして悩んだり迷ったりすることは必ず出てきます。もし、自分らしさを失いそうになったときには、そのノートを開いてみてください。きっとあなたの書いた言葉が未来のあなたを励まし、自分が進むべき道へと連れ戻してくれることでしょう。

心理カウンセラーとして独立開業することは、簡単なことではありません。それでも、決心した人はきっと、続けていけます。どうぞ自分の夢を忘れず、前へ進んでいけますように!