そんなあなたに役立つかも知れないのが、カラーバス効果です。
いつもと見方を変えたり、気になる情報をいち早くキャッチできるようになったり、「いつもと同じ」を大きく変化させることが出来るヒントを得るために、この心理効果を活用していきましょう。
カラーバス効果とは
見るものが変われば世界が変わる?
たとえば、あなたが今、電車に乗っているとして、「目に入ってきたものを3つ挙げてみてください」と言われたら、「座席」「つり革」「目の前に座る人」…といったものを答えるでしょう。
続いて、同じく電車の中で、「赤いものを3つ挙げて」と言われたら?「赤い文字で書かれた中吊り広告」、「赤い服を着た人」、「緊急停止用の赤いボタン」…こんな風に答えるかと思います。
では、実際にあなたが今居る場所でも試してみましょう。まずは、とにかく目に入ってきたものを3つ挙げてみて下さい。続いて、何か色を一つ決めて、ものを3つ挙げてみます。何色でも構いません。
もしかしたら、あなたが挙げたものの中には、最初に気付かなかった思わぬものが含まれている、ということがあるかもしれません。
このように、何かを意識した途端、自分の目に映る景色が変わることがあります。
「実験」ではないけれど…
この背景には、心理学的には「知覚(聴覚・視覚)の選択性」「選択的注意」が働いていると考えられます。
カラーバス効果の実験ではありませんが、「カクテルパーティー効果」としてよく知られているもので、パーティーの最中の会話など「聞きたい事や興味がある事」はよく聞き取れ、逆に「意識していないこと」には気づきにくいという心理効果があるのです。
例えば「今日のラッキーカラーは赤」と言われると、街でその色ばかりに目がいくことがありますよね。自分が「今日は赤」と意識しただけで、やたらと目につくわけです。
気になっていることに関する情報は、なぜか目に飛び込んでくるもの。それを意識的な作業とするのが「カラーバス効果」です。
カラーバス効果は英語で…
カラーバス効果の「バス」とは、「bath」つまり「浴びる」という意味です。
つまり、カラーバスは「色を浴びる」という意味なのですね。色にまつわる心理的な効果として着目されがちですが、その効果は色に限らないことにも応用できます。
カラーバス効果についての論文はある?
「カラーバス効果」という言葉は、博報堂の加藤昌治(かとう・まさはる)氏の著書「考具」で取り上げられて以降、少しづつ認知されていき、「人は何かを意識すると、それに関連する情報を自動的に集めるようになる」という広い意味で用いられるようになりました。
現在では「引き寄せの法則」「シンクロニシティ」といったキーワードと一緒に「アイデアを生み出す方法」としても有名ですが、カラーバス効果を主題にした論文はなく、心理学用語でもありません
カラーバス効果を活用する
新しい発見をビジネスや生活に活かすには?
それでは、カラーバス効果の活用法を考えてみましょう。
「気になっていることに関する情報は、目に飛び込んでくる」わけですから、何か新しいアイデアが欲しい時は、テーマをひとつ決めておけば、日常生活の中でそのテーマに関係することが目に飛び込んでくるかもしれません。
「電車に乗ると、目の前の人の歯並びが気になる」という歯医者さんがいましたが、この先生は、普段からやはり「歯」に意識が向いているからでしょう。
また、既存の考え方ばかりでは、ものの見方やアイデアが偏ってしまいます。「意識した途端、目に入る景色が変わる」ということは、新しい視点をテーマにして心に刻むことで、いつもと違う見方が出来る=新しい発見が得られることに繋がりそうですね。
カラーバス効果を読書に活かす!
本を「浴びるように読む」=多読も、カラーバス効果の活用法としてもオススメです。普段読んでいる本を、例えば「子育て」であったり仕事の上で課題と視点に意識を集中して読み直してみると、やはり新しい気づきがあるかも知れません。
あわせて読みたい
仕事や生活でなにか新しいアイデアが欲しいあなた、ちょっとスマホの画面から視線を外し、周りの風景を眺めてみませんか?
参考:ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトwww.newsweekjapan.jp
参考::考具 ―考えるための道具、持っていますか? 加藤 昌治 – 2003/4/4