HSPとは?その特性や対処法を解説!チェックリストも

HSPとは?その特性や対処法を解説!チェックリストも

現在、約5人に1人といわれているHSP。Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)頭文字をとった略語で、日本語に訳すと「人一倍敏感な人」という意味になります。現在、約5人に1人がこのHSPだと言われています。今回はこのHSPについて詳しく解説します。

HSPとは?その特性や対処法を解説!チェックリストも

敏感気質の人のこと!

HSPとは、他人の気持ちを敏感に感じ取ってしまう、また聴覚や触覚、嗅覚などの五感の刺激が気になる、などの敏感気質の人を指します。

具体的には、自分が怒られているわけではなくても、近くの人が怒られていると自分が怒られているように感じて落ち込んでしまったり、また、小さな音が気になったり、洋服のタグやタートルネックが苦手だったり、満員電車に乗っているときに、汗や体臭、香水の香りが異常に気になったりします。

共感力が高く、感受性も強いため、疲れやイライラが人一倍起こりやすくなり、そのせいで自己嫌悪に陥ることも…。

でも、このHSP、デメリットばかりではありません。物事の本質をしっかり見極めることができたり、他人の喜びに共感する能力が高かったりといったメリットもあります。

何より「感じる力が強い」性質を自分自身で理解することで、過ごしやすくなります。

HSPには4つの特徴がある

HSPの4つの特徴 DOES
HSPの特徴を理解することで、自身がHSPであっても上手に自身をコントロールすることができるようになります。

HSPの提唱者であるアメリカの心理学者 エレイン・アーロン博士は、HSPには4つの特徴「DOES(ダズ)」があると述べています。具体的にご紹介していきましょう。

<D>物事を深く考える(Depth of processing)
脳の情報を処理する部分が活発に働くため、1を聞くと10のことを考える、物事を始めるまでに様々なことを考えるので行動するまでに時間がかかる、などの性質があります。
<O>刺激を受けやすい(Overstimulation)
人混みや大きな音、ささいな言葉などの刺激に敏感に反応します。そのため、たとえ楽しい時間を過ごしたとしても帰宅後はどっと疲れていることがあります。また気になることがあると眠れなくなるといった性質があります。
<E>感情が動きやすく共感もしやすい(Emotional response and empathy)
「共感する力」を生むと言われるミラーニューロンが活発であるため、人が怒られているとそれを自分のことのように感じ、落ち込んだり傷ついたりする性質があります。
<S>些細なことに敏感(Sensitivity to subtleties)
冷蔵庫やエアコンの機械音、強い光や近くにいる人の体臭などの感覚が鋭い性質があります。また、カフェインや添加物などの刺激にも敏感に反応します。

もしかしてあなたもHSP?チェックしてみよう

次の質問に答えてみてください。どちらかといえば当てはまるという場合でもチェックするようにしてくださいね。

  1. 周囲の環境の変化を敏感に察知する
  2. 痛みには敏感なほうだ
  3. 他人の気持ちに左右されることが多い
  4. 子供の頃、内気と思われていた
  5. 会社、学校などで競争させられたり、観察されていると自分の実力が発揮できなくなる
  6. 普段の生活ではできるだけ動揺するようなことを避けている
  7. 生活に何か変化があるのがこわい
  8. 繊細な香りや味が好き
  9. 身の回りで様々なことが起こるのを嫌う
  10. 映画やドラマなどの暴力的なシーンは極力見ないようにしている
  11. ミスや忘れ物がないように念入りに確認している
  12. 多くのことを一度に頼まれることを嫌う
  13. 人が不快に思っていることを敏感に察知する
  14. 短い時間にたくさんのことをこなすのが苦手
  15. ちょっとしたことで驚きやすい
  16. 自分は誠実だと思う
  17. 音楽や美術に感動することが多い
  18. 騒音が気になりやすい
  19. 想像力が豊か
  20. 明るい光や強い匂いが苦手
  21. カフェインには敏感だ
  22. 忙しい日が続くとどこかに逃げ込みたくなる

あなたはいくつ当てはまりましたか?
この中で12個以上当てはまった人はHSPの可能性が高いです。

HSPは病気ではない!

HSPはあくまで先天性の気質なので、治す必要のある病気ではありません。

ただし、1度に多くのことを頼まれるとイライラする、音や光・匂いに圧倒されやすい、人とのコミュニケーションが苦手でうまく関係を築けない、などの特徴が顕著な場合は、発達障害の一つである「自閉スペクトラム症」の可能性があります。

気になる症状が出ている、また長期間心身に不調をきたしている場合は、精神科や心療内科などで相談するようにしてくださいね。

HSPの対処法は?

ここからはHSPに代表的なお悩みと解決策についてご紹介します。

<ケース1>
他人の気持ちを敏感に感じ取ってしまうので疲れやすい

対処法は…

他者と自分との間に境界線を引く、パウンダリーを大切にしよう!

HSPは、他者の気持ちが自分へと流入しやすい傾向があります。パウンダリーとは、他者との境界のこと。まずは自分と他者とは別人であると捉えることから始めてみましょう。

他人の気持ちを敏感に感じ取るため、HSPは、必要以上に気を遣ってしまうこともしばしば。気遣いをするのは、相手を不快な気持ちにさせたくないから。気遣いできるのは長所でもありますが、必要以上に気を遣えば、精神的エネルギーを多く消費することとなり、後々とても疲れてしまいます。

相手の気持ちよりもまずは自分の気持ちを優先させるようにしましょう。

<ケース2>
特定の五感刺激に弱い

対処法は…

感覚の過敏さもHSPの特徴。でもその感覚の悩みは人それぞれです。まずは、自分がどんな刺激に弱いのかを考えてみましょう。特定できたら、その不快な感覚を減らす工夫をしてみましょう。

たとえば、エアコンの機械音が気になる場合には、耳栓やヘッドホンをつけたり、光が気になるのであれば、遮光できるメガネをつけたりなど。触覚面で気になることがある場合には、触り心地のよいタオルなどを常備しておくと安心しやすくなります。

積極的に道具を使って、物理的に嫌な刺激から離れるようにしましょう。職場などでは、誤解を生まないように、自分が苦手な刺激について話しておくと良いでしょう。

<ケース3>
家事や仕事などをしていると効率的にできずに時間がかかってしまう

対処法は…

まずはやらなくてはいけないことをリスト化してみましょう。そうすることで優先順位がつけやすくなります。

優先度の高いものから1つずつ取り組んでいくことで効率的に作業を進めることができます。また、HSPは入念に準備をするので、取りかかるまでに時間がかかることもあります。急ぐと、失敗する確率が高まるので、自分のペースでじっくりと取り組んだ方が結果的にはうまくいくはずです。

自分は作業が遅いと思うと焦りが生まれるので、丁寧に仕事をしていると考え方を転換するのが良いですね。

HSPかも?という人との付き合い方

今回は、HSPについてその特性や対処法をご紹介しました。

もし周りにHSPと思われる人がいた場合には、焦らすことは決してせず、会話でも行動でも「待つ」ことを重視するようにしてください。

また、気持ちを受け止めることで安心感を得られるので、共感することも大切です。

HSPには、美術や音楽などの芸術、また人のマイナス面だけでなく喜びにも影響を受けやすいといったポジティブな側面もあります。繊細さを個性と捉えると、きっと気持ちも和らぐはずですよ。