無口な人とのコミュニケーションのヒント
無口な人の心理を理解する
無口であることは、それ自体が特に悪いことではありません。
相手や周囲に対する配慮であったり、誤解を生まないように社会的なスキルとして沈黙が重要な面もあります。
一方で、実は話したい内容があっても、きちんと失礼のないように伝えたいと思って、時間をかけて考えてしまい、結果として無口に見えてしまう人もいるでしょう。
無口であるという自覚はあるか?
また、沈黙は金という言葉もあるように、口数は少ないほうがよいという価値観を持っている人も少なからずいます。
様々な理由があるとはいえ、こちら側としては学業や仕事の付き合い、あるいは恋愛の対象としてもっと上手くコミュニケーションをとりたい、話をして欲しい!というケースもありますよね。
自然な流れで時間をかけて仲良くなれればベストかも知れませんが、なかなか会話が弾まない、沈黙が気まずい状態が続くのは避けたいものです。
育った文化や生まれつきの性格傾向に加え、コミュニケーションへの苦手意識やスキル、恥ずかしがりやすさによって無口さの程度は変わります。
本人が、無口であるという自覚はあるかどうか、また無口であることにコンプレックスを抱いているかどうかも知っておきましょう。
本人も悩んでいるかもしれない
無口で悩んでいる人と一口に言っても、その心の内はさまざまです。
コミュニケーションに対する不安や苦手意識をもっていたり、吃音傾向を気にしていたり、あるいは単純にシャイだという場合もあります。
無口な人に対して、否定的な印象を持ってしまうかも知れませんが、まずは先入観を捨ててみましょう。
心理学者のバスは、1980年に特定の場面でコミュニケーション不安に影響する7つの要因を仮定しています。
人が無口になる7つの理由と特徴
無口な人が、環境の変化によってよく話してくれるようになることがあります。
話相手(自分)が、相手にとってどういうポジションなのか?接している状況はどうか?考えてみることが大切です。
また、育った文化や生まれつきの性格傾向、コミュニケーションへの苦手意識やスキル、羞恥心の度合いによって無口さの程度や種類は変わります。
新奇度:不慣れな環境
今までに体験したことのない新しい環境では、慣れてきた環境とマナーやルールも少しずつ違います。自分の発言がどのようにとられ、どんななふうに評価されるのかわからないとなると、誰しも不安になります。
もともと無口な人でなくとも、口数が減るかもしれません。
未知度:相手をよく知らない
よく知らない人と接するときにも、多かれ少なかれ、不安になります。
慣れない人に対して発言を控えてしまうという人は少なくないでしょう。いわゆる人見知りもそうです。
単純によく知らないというだけなので、時間をかけて打ち解ければ、むしろおしゃべりな人だったという場合だってあります。
公的度:人前に出ている
公的な場面では多くの人の目にさらされることから、失敗が許されず、正しいふるまいが求められます。
そこで積極的に発言するということは、慣れていないとなかなかできることではありません。
会議や授業で発言が少なくなってしまうという場合も、これに当たります。
もしかしたら、過去の失敗で傷ついた経験があるのかもしれません。本人のレジリエンス(心の回復力)を高めるような工夫も大切です。
地位の格差:相手が目上の人
たとえば上司や先生と1対1で話さなければならないとなると、緊張しますし、気も遣います。
そこでコミュニケーション力に自信があれば、自分をアピールするチャンスと捉えられるのですが、自信がなければ最小限の発言にとどめて失敗せずにおきたいと思うのものです。
あなたが上司や教師ならば、無口であることをとがめるような態度をとると、かえって心に鍵をかけてしまいかねないので注意が必要です。
異彩度:周囲の中で浮いている
自分だけ浮いていると感じると、それは不安になります。なるべく目立たないようにと発言を控えたくなる気持ちもありますよね。
こうなると本人のストレスも強く、精神的に閉じこもってしまいかねないので、職場やクラス全体で、違いを容認する態度を示すことが必要です。
他者からの注目度:注目を集めている
良くも悪くも他者から注目されていると感じると、なんだか一つひとつの発言に気を遣います。そんなときも、何を話したらいいのかわからなくなります。
小学校のクラスの転校生のような存在なので、時間が解決するものでもありますが、自然な形で接することを大事にしたいですね。
相違度:自分だけ周囲と違う
価値観、信仰などが相手や周囲と違うと感じたとき、人はあまり積極的に自分を開示したいとは思わなくなります。
発言するにしても、ぶつかることを避けて、適当にうまくやり過ごしたいと思いますよね。
5の異彩度と同様、精神的に閉じこもってしまいかねないので、職場やクラス全体で、違いを容認する態度を示すことがとても大切になります。
話しやすい雰囲気をつくる
以上の7つの要因は、どれか1つが原因というよりは、たいてい複数が関係しています。
全体として言えることは、まず時間をかけて自然なコミュニケーションをとること。
そして、職場や授業の集団全体として、どんな考え方も受け入れるという、多様性を尊重する態度をとることが大切です。
要因を無理に取り除こうとしたり、考え過ぎて接するこちらまで緊張してぎこちなくなってしまっては本末転倒です。
無口な人とは「◯◯しながら会話」がオススメ
おすすめなのが、何かをしながら会話をすること。
面と向き合うよりも、何かを食べながら、カードゲームをしながら、共通の課題について考えながらなど、楽しい雰囲気で互いに興味のあることをし「ながら会話」をするのが良いでしょう。
特に子どもが相手なら、遊びを通じた共同作業は、言語以外の感覚を共有する大事な経験です。いっしょに遊んでいるときに、ぽろっと本音がこぼれるということもあります。
逆説的ですが、言葉を発することに不安がある相手と「無口でいても許される」関係をつくれると、もっともその人をリラックスさせ、話しやすい雰囲気につながるかもしれませんね。