「類は友を呼ぶ」という言葉がありますが、これは恋愛にも当てはまるのでしょうか。
みんな、自分に似た人が好き?
アメリカの心理学者バーシャイドらは、容姿やファッションセンスなどが自分と似通った人を恋愛の相手に選ぶ傾向があると主張しました。
人は、自分より魅力的な人には拒否されたくないので簡単には近づけない、そのくせ自分より魅力的でない相手のことは受け付けない…その結果、似た者同士のカップルが生まれると提唱したのです。
つまり、人は無意識に自分と釣り合った相手を選んでいるということですね。
これを「マッチング仮説」と言います。
もちろん「美女と野獣」のような例外もありますが、例外が起こるのは、見た目の要素以外に何か人を惹きつけるような魅力をその人が持っているからではないでしょうか。
近くにいれば仲良くなれる?
人間関係がどのようにして作られていくかについて調べた、こんな実験があります。
大学の寮に入っている男子学生を対象に、半年間にわたってどのような交友関係を築くか調べたところ、はじめは部屋の近い者同士が仲良くなったそうです(近接の要因)。
ところが、しばらくたって、寮に住んでいる人が、どんな人柄なのかが次第に分かってくると、考え方が似ている者同士が親しくなりました。
このように、趣味や考え方の似ている者同士が親しくなることを「類似性の法則」と言います。
例えば、高校の入学時、最初は席が近い人と話していたけれど、クラスの皆の性格が分かってくるにつれて、性格が合う人と一緒にいるようになった、という経験がある人は多いのではないでしょうか。
恋愛もこれと同じことが言えます。趣味など、相手と自分との間に共通点が見つかると、話も盛り上がりますし、親近感も覚えますよね。そうなると、二人の距離も近づきやすくなります。
類似性の法則を利用して相手との距離を縮めよう
この類似性の法則には、3つの特徴があります。
- 性格、趣味、価値観などが似ていると、人は相手のことを付き合いやすいと認識する
- 自分と似ている点が多いため、相手の行動を予測しやすくなる、また相手の同意も得られやすい
- 相手に合わせようと変な気を使わないため、精神的負担が少ない
もし、今、あなたに好きな人がいるのであれば、1や2の特徴を生かしましょう。
1の場合であれば、例えば、相手の趣味が分かったら、自分の趣味でなくても詳しくなっておくことで、相手に自分と共通点がある、と思わせることができます。そうすれば、きっと好意も抱かれやすくなるはず!
ただ、性格や価値観などは無理やり合わせると、その場は良くても、後々つらくなってきます。過度に合わせるのはやめておいたほうが良いでしょう。
また、2の特徴を利用して、一緒にいる時に、意識的に相手の行動や声のトーン、話し方を真似してみてください。
例えば、相手が飲み物を飲んだら、自分も飲み物を飲む、相手がゆっくりとした話し方をしていたら、自分もゆっくり話すように心がけるなど。
このように、相手の行動やしぐさなどをミラー(鏡)のように真似ることを「ミラーリング」と言います。このミラーリングを行うことで、相手に親近感を抱かせたり、好感を持ってもらえる可能性が高くなります。ただし、真似していることが、相手に分かってしまった場合、相手に不快感を抱かせる原因になります。真似する時は、あくまでもさりげなく行いましょう。
<番外編>類似性の法則は嫌いな人とのコミュニケーションにも活用できる!
働くようになると、嫌いな人とも接しなくてはいけない場面が多々出てきますよね。そんな時は相手との共通点を探してみましょう!
人は相手のことを嫌いになると、その人の良い面より、悪い面ばかりが気になるものです。
相手の良い面の中から、自分との共通点が見つかれば良いのですが、もし見つからない場合は、悪い面から共通点を探してみましょう。良い面でも悪い面でも、自分と似たところがあると分かれば、嫌いな気持ちも切り替えやすくなるのではないでしょうか。
また、出身地や趣味など、性格以外の共通点も探してみましょう。そして、何かしらの共通点が見つかったら、雑談しなければいけない時に、話題に出してみましょう。そうすることで、相手の良い面も見つけられ、嫌いな気持ちが緩和されるかもしれません。
また、「好意の返報性」という心理学用語があります。人は、自分に好意を持ってくれる人には、同じように好意を抱く傾向があります。自分が相手を少しでも好きになれれば、相手もあなたのことを嫌だとは思わないはず。その結果、コミュニケーションもスムーズにいくかもしれません。
結婚は、似たもの同士だとうまくいかない!?
自分と共通点が多くて、相手との距離が縮まり、付き合うことができた、付き合いも長くなってきたし、そろそろ結婚したい!ところが、付き合っている時にうまくいっていても、結婚したら必ずしもうまくいくとは限りません。
アメリカの心理学者ウィンチは、25組の夫婦に面接調査を行いました。その結果、お互いが自分の持っていないものを相手に求めているケースが多いことが明らかになりました。
例えば、一方が支配的だと、もう一方が服従的、また、一方が援助好きだと、もう一方が援助を受けたがる、といった具合です。このような関係のことを、相補(互いに不足を補うこと)性説と言います。
このことを踏まえると、夫婦になった場合は互いに対照的な部分があった方が、結婚生活が長続きするのかもしれないですね。
似ている部分はあるけれど、お互いにないものも持ち合わせている…こんな相手を見つけられれば、きっと付き合っても、結婚してもうまくいくのではないでしょうか。
「類似性の法則」や「相補性説」、ぜひあなたの恋愛や結婚に役立ててくださいね。