更年期障害とは、40歳代以降の男女の性ホルモン分泌量の低下が原因となる自律神経失調症に似た症候群です。
出典
厚生労働省の提供する健康情報サイトe-ヘルスネット
更年期障害~女性編~
更年期障害の原因と症状
まずは、女性の更年期障害について見ていきましょう。
女性の場合、平均51歳で訪れるという閉経によって、また加齢による卵巣機能の低下やストレスなどで女性ホルモン(エストロゲン)が減少することによって起こります。
主な症状としては、顔ののぼせ、火照り、発汗、冷え性、動悸、頭痛、めまい、耳鳴り、睡眠障害などの「自律神経失調症状」と、憂うつ、イライラ、意欲低下、不安感、精神不安定などの「精神症状」があります。その他の症状として、肩こり、腰痛、関節痛、筋肉痛、腹痛、食欲不振、下痢、嘔吐、疲れやすさ、喉の渇き、皮膚のかゆみなどが見られます。
更年期障害の治療
[sp-only][/sp-only] [pc-only][/pc-only]このように、内科や整形外科、耳鼻科、精神科の疾患と類似した症状が多いため、すぐに更年期障害と分からず、複数の診療科を受診する場合もあります。
これらの症状があり、自身で対処が難しいと感じたら病院の婦人科に相談してみましょう。更年期外来や女性外来といった診療科を設けている病院もあります。
いずれにせよ、自己判断して、市販薬や民間療法に頼るのは危険ですから、専門医の診察を受けるようにしてください。
治療方法としては、いずれの症状も薬物療法が中心となります。「自律神経失調症状」が主なタイプと、「精神症状」が主なタイプのうち、エストロゲン欠乏に由来するものには、ホルモン補充療法が効果的と言われています。ホルモン補充療法は、注射によるものと軟膏によるものとがありますが、長期間行っていると乳がんの可能性が高くなると言われているため、医師の指示に従うことが賢明です。その他、漢方薬や自律神経調整薬などの薬が処方されることが多いでしょう。
更年期障害の対策
更年期障害は、卵巣機能が変動している時期に見られるため、完全に卵巣機能が低下すれば、次第に全身もその状態に慣れ、自然に症状も改善すると考えられています。
しかし、症状は個人差があり、1年~数年間、酷い場合、それ以上にわたる人もいます。また、本人の性格、精神状態、周囲の環境(主にストレス源)などによって、症状の程度も変わってきます。いずれにせよ、気になる症状があれば、病院を受診するようにしましょう。そして、普段からストレスを溜めないよう、生活習慣や環境の改善を図ることが大切です。
さらに、エストロゲンに似た働きをもつ栄養素を取ることも大切です。その栄養素とは、「大豆イソフラボン」。大豆イソフラボンを多く含む食品の代表はもちろん大豆ですが、納豆や豆腐、豆乳以外で、ザクロやライ麦などにも、エストロゲンのように働く成分を持つものもあります。
次は、男性の更年期障害について見ていきましょう。
更年期障害~男性編~
更年期障害と聞くと、50代前後の女性特有の病気、というイメージを持つかたが多いのではないでしょうか。しかし、更年期障害は女性だけの病気ではありません。男性の更年期障害は「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれるもので、男性のかたもしっかり勉強して、今後に備えることが大切です。
更年期障害の原因と症状
女性の場合は閉経つまり50歳前後でしたが、男性の場合、40歳以降、加齢や特にストレスなどで男性ホルモン(テストステロン)が減少することによって起こります。
主な症状としては、火照り、発汗、睡眠障害などの「自律神経失調症状」と、性欲の低下、ED(勃起障害)などの「性機能関連症状」、さらに、抑うつ、気分の落ち込み、不安感、疲れやすさ、やる気や集中力の低下などの「精神症状」があります。その他の症状として、体力の低下、肩こり、腰痛、関節痛、筋肉痛なども見られます。
男性の場合も、上記のような症状を見るかぎり、40代という働き盛りから、誰にでも起こりうる、ありがちなものと言えるでしょう。しかし、ありがちな症状でも、そのままにしておくと、気付かぬうちに大変なことになりかねません。そこで、気になる症状が出てきた時には、早期発見と早期治療・対策が大切です。
更年期障害の対策と治療
治療法としては、男性の場合も、女性と同様、ホルモン補充療法が効果的だと言われています。
加齢は止められませんが、過度なストレスによるテストステロンの減少は避けたいものです。そこで、適度な運動で身体を動かす、睡眠をしっかり取る、入浴や休息などリラックスタイムを積極的に取る、といったストレスを溜めない生活を心がけましょう。
さらに、ホルモンの合成や分泌に関わる栄養素を摂ることも大切です。その栄養素とは、「亜鉛」。亜鉛は体内で作ることが出来ないため、食生活が乱れると亜鉛不足になってしまうので、要注意です。亜鉛を多く含む食品の代表は牡蠣ですが、カニをはじめとする魚介類、そして、牛肉などの肉類、卵、大豆、穀類と多くの食品からも摂取可能です。ただし、サプリメントによる亜鉛の過剰摂取は腎臓障害などの副作用が起こる可能性がありますので、サプリメントに頼らず、食事で積極的に摂り入れましょう。
若年性更年期障害
更年期障害は、50歳前後という時期に多く見られるために、世間一般では50歳前後の人がかかる病気というイメージが持たれがちです。
しかし、女性の場合は女性ホルモン(エストロゲン)の減少とストレスという原因、男性であれば男性ホルモン(テストステロン)の分泌の減少という原因が、自律神経失調症状と精神症状という症状に現れるものです。すなわち、年齢に関係なく誰でも起こりうると言えるでしょう。気になる症状が出てきた時には、早期発見と早期治療・対策が大切です。
最近では、男女共に20代や30代で起こる「若年性更年期障害」も増えているそうです。まだ若いから関係ない、と油断せず、ストレスをこまめに解消し、栄養のある食事や質の良い睡眠など、規則正しい生活を心がけましょう。