動物好きな人は、それだけで好感度が高くなりやすいもの。
普段そっけなくても、動物に優しく接している姿を見ると、「本当は優しい人なのかもしれない」と思えて来ませんか。でも、動物に対してやさしい人は、実際に人間に対しても同じようにやさしい人なのでしょうか…?
動物を飼った経験と共感性の関係
<動物との関係性>と<他者(人間)との関係性>とに関連があるかどうかということは、とても興味深いテーマです。
例えば、ペットを飼った経験の有無が、他者への共感性に関係しているかを調べた研究は、これまでにいくつもされています。その多くの結果が、やはり関係があるという報告になっています。
つまり、動物を飼ったことがある人は、他人に共感したり、他人の感情をよく理解できたりする傾向があるというのです。
動物と接することで学べること
ではなぜ、そういった傾向が見られるのでしょうか。
動物とのやり取りは人間同士と異なり、人間側から言葉をかけることはあっても、相手からは言葉では返ってきませんよね。つまり、動物との関係は、自分とは異なる、言葉の通じない他者との関わり方を学ぶ上で、重要な経験となるのです。
また、動物とのふれあいは、「癒やし」にもなります。たとえばストレスの解消をうながし、孤独感を癒やしてくれたりします。アニマルセラピーとして、医療や福祉現場で用いられることもあるくらいです。動物は、人間との間であたたかい愛情を育んでくれ、心の健康度を高めてくれる存在と言えるかもしれません。
ただ、もちろん動物好きではない人の性格が悪いというわけではありません。
例えば子どもの頃、可愛いらしい子犬でさえ、怖くて苦手だった人もいるでしょうし、大人になってからも、色んな理由で動物が苦手という人はいます。
でも、だからと言って、その人が人付き合いが苦手だったり、冷たい人だったりするのかと言ったら、決して一概には言えませんよね。
動物に対する接し方と他人に対する接し方は、単純に関連づいているわけではなく、もう少し複雑なものがありそうです。
自分に似ている動物を好きになりやすい
人が動物を好きになるのにも理由があります。その1つが、動物の外見です。
よくペットは飼い主に似ると言われますが、ペットが飼い主に似るというよりは、飼い主が自分とよく似たペットを、知らず知らずのうちに選んでいるという可能性があります。
1999年にCorenが実験したところ、髪の短い女性ほど、小さな耳が立っているイヌに、髪の長い女性ほど、大きな耳が垂れ下がったイヌに魅力を感じるということが明らかになりました。
また、イヌの写真とその飼い主の写真をバラバラに混ぜて、他の人がそれらの写真を組み合わせる実験をすると、純血種に関しては、正確に組み合わされることが多かったのだそう。純血種は特徴がハッキリしているので、類似点がより見つけやすくなったのでしょう。
どうやら人間には、自分と似ている動物を好きになる傾向があるようなのです。
イヌ派とネコ派のペットに求めるものの違い
人が動物を好きになるもう1つの理由として、動物の性格について見ていきましょう。代表的なのが、イヌ派とネコ派の性格の違いです。
イヌとネコへの態度が自分のどのような心理的特徴と関連するかを調べた1980年のKidd&Kiddの研究によれば、イヌ好きの男性は支配性が高く、ネコ好きの男性は自律性が高い傾向にあるという結果が示されています。
また、イヌを理想のペットとする人ほど、ペットには従順さを求め、ネコを理想のペットとする人ほど、ペットに従順さを求めない傾向があることも、2007年にWoodward&Bauerが報告しています。
つまり、
- 犬を飼っている人は、支配欲があり、言うことを聞かせたい心理がある
- 猫を飼っている人は、自立した生活を好み、自由にしてい欲しい心理がある
という傾向が見られるようなのです。
ただし、これもあくまで傾向で、当てはまらない人もいます。イヌやネコにも品種や個体ごとの性格の違いがありますし、自分の意思で飼い始めたのか、家族の意思で飼い始めたのかなど、動物を飼うに至った経緯も人それぞれであることに注意が必要です。
どんなふうに動物と付き合っているかに注目
以上のように、一口に動物好きな人と言っても、どんな動物のどんなところが好きなのかによって心理や性格にだいぶ違いがありそうです。
動物好きだからこういう心理、こういう性格、というふうに一言では表すことができませんし、単純に対人関係と結び付けることもできません。
ただ、その人が好きな動物とどのように付き合っているのかということは、直接的に人間関係に当てはまらないにしても、その人の人柄を表すものの一つであることには変わりません。
気になる人には一度、「動物は好きですか?どんな動物が好きですか?」と聞いてみても良いかもしれませんね。