人間の心理への興味から、カウンセラーに転身

人間の心理への興味から、カウンセラーに転身

呉服の営業職からスクールカウンセラーを経て、働く人のためのEAPカウンセラーに。現在のカウンセリングのお仕事のスケジュールや、カウンセラーに向いている人、目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました
飯代鈴乃さん プロフィール

人間の心理への興味から、カウンセラーに転身

1969年生まれ。東京都出身。都内の小学校でスクールカウンセラーを10年勤め、京都に移住後、大阪の心療内科併設施設で2年間の臨床カウンセリングを受け持つ。現在は滋賀県大津市にカウンセリングルームを開設。地元企業から紹介された復職支援カウンセリングを中心に、悩んでいる人に居心地よく感じていただけるカウンセリングルームを目指している。

–まず、飯代さんがカウンセラーの道に進むことになったきっかけをお聞かせください。

私は最初から、カウンセラーを目指していたわけではありません。ただ、人間心理に興味があり、高校の頃から心理学の本をたくさん読んでいました。バブル期でしたので、大学はなんとなく経済学部を選びました。臨床心理士も出来たばかりで、カウンセラーという職業は今ほど知られてませんでしたね。

社会人になってからは呉服の営業の仕事をしていましたが、趣味で心理学の勉強を続けていました。そのうち、心理系大学を卒業していなくても取得できる資格があることを知り、教育カウンセラーと産業カウンセラーの資格を取得しました。その時、知り合った人が不登校の適応指導教室に勤めており、その紹介で私もそこに転職することになりました。それが心理の仕事の始まりです。

–普段、どのようなスケジュールでカウンセラーの仕事をされていますか?

今は、EAP(※1)やオンラインカウンセリングを行っている会社から委託を受けておりまして、電話やスカイプ、そして滋賀県大津市で対面カウンセリングをしています。割合としては、電話やスカイプが多く、対面カウンセリングの件数はあまり多くありません。

スカイプカウンセリングは定期的に利用される方が大体決まってきており、継続ケースが多くなっています。地方なので家の近くにカウンセリングをしてくれる施設がない、あるいは海外にいらっしゃるとか、遠方にお住まいの方が多いです。

11:00 カウンセリングルームにて対面カウンセリング
13:00 食事・休憩
15:00 家事など家の仕事
20:00 食事・休憩
21:00 自宅でオンラインカウンセリング
22:00 メール相談の回答、コラムの執筆
24:00 就寝

スカイプカウンセリングは、インターネットで好きな時間に、気軽にカウンセラーを選び、予約できるのがメリットだと思います。

カウンセラーにとっても、例えば「今月は夜だけ予約をとろう」など対応可能な時間帯を設定して、仕事のスケジュールを調整する事ができます。

細かい表情やしぐさが伝わらないというデメリットもありますが、在宅でできるということは、家事や他の仕事と両立しやすいので、カウンセラーにとっても、スカイプカウンセリングは便利かなと思いますね。

–カウンセラーを目指している人に、アドバイスをお願いします。

カウンセラーになりたいから、資格取得のために心理学の知識を暗記するのではなく、心理学を好きになり、たくさん本を読んでほしいと思います。

それと、臨床心理士ではない私が、適応指導教室でのお仕事から、ご縁があってスクールカウンセラーになれたのは、普段から「○○をしたい」「興味がある」という話を周りの人にしていたからだと思います。

心理学を学ぶ場や職場では、いつどこに、心理職の関係者がいて仕事のチャンスをくれるかわかりません。どんなカウンセラーになりたいかなど、自分のアピールをしておくのは大事かも知れませんね。

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–カウンセラーに向いているのは、どのような人だと思われますか?

普段から、人間の心理に興味があり、「なぜあの人はああいう行動をするのか」と考える人は向いていると思います。

また、色々なタイプの人と話ができることも大切ですね。例えば、母子のカウンセリングでしたら、お母さんがちょっとヤンママっぽい人だったり、いかにもマダムのような人だったり、いろんなお母さんがいます。タイプが違えば価値観も違いますので、どんなタイプの方とでも自然に会話できる人は向いていると思います。営業職や接客業などで、たくさんの人と話をすることが鍛えられてきた人も向いているかもしれませんね。

逆にカウンセラーに向いていないのではと思うのは、1回1回のカウンセリングに、一喜一憂して、自信満々になったり、自信喪失したり、気分が変わってしまう人です。「治せなかった」ことを後悔し過ぎるのは、自分自身の「手柄」を求めてしまうからだと思います。そういう人が、カウンセリングに関わるのはちょっと危険かもしれません。自分がそのクライエントを「治せる」のかどうかより、そのクライエントの心理に興味を持ち続けたほうがいいかと思うんです。

–飯代さんは、教育カウンセラーと産業カウンセラーを取得されていますが、役に立ったと思うことはありますか?

もちろん勉強になりました。ただ、それ以上に勉強の必要を感じたので、私の場合は、スクールカウンセラーになった後、通信制の大学で心理学の学士を、夜間大学院で心理学修士も取りました。

その後、シニア産業カウンセラーを取得後は、求人に応募をしてもほとんど採用いただけるようになりました。資格と実務経験が役に立ったのかも知れません。

(※1)Employee Assistance Program(従業員支援プログラム)の略で、主に企業で従業員メンタルヘルス対策を通して、職場のパフォーマンスを向上させるためのもの

産業カウンセラー

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