大人の発達障害とは
発達障害というと、子どものイメージが強いかもしれませんが、大人になったからといって治るというものでもありません。また、大人になってはじめて気づくケースもあり、近年「大人の発達障害」として注目されています。大人になってから気づく場合は、小さい頃から不得意なことがあったけれども周囲から見過ごされてきたケースや、学校や家庭など周囲の適切なサポートがあったため対応できていたけれども、就職後、サポートが十分行き届かない職場で支障が出てきた、というケースなどがあります。
忘れ物が多い、提出期限が守れない、大事な物をなくしてしまう、片付けられない、人の気持ちを理解するのが苦手、急な予定変更でパニックになってしまう…といったことで困っていませんか?また、一生懸命働いているのに、上司や同僚からやたらと叱責される…ということはありませんか?
大人の発達障害の対応法
自分自身が仕事に取り組みやすくするためにも、発達障害に早めに気付き、対処していくことが大切です。そのためには、苦手にどう対応すればいいか、大きく2つに分けて対応するとよいでしょう。
(1)自分の不得意を理解し、対処方法を身に付けていくこと
(2)周囲の理解を得て、サポートを受けていくこと
(1)の対処法
自分で出来る対処は、例えば以下のような方法が挙げられます。
- メモや付箋、スケジュール帳、スマートフォンのアプリ(メモやタスク)などを有効に活用し、忘れ物、提出し忘れを防ぐ。
- 一度に複数の仕事を同時に進めず、一つずつ取り組む。同時進行で仕事を進める場合は、作業を対応しやすいように小分けにし、優先順位を決めて書き出す。
(2)の対処法
周囲にお願いするサポートは、以下のような方法が挙げられます。
- 仕事の指示は、なるべく分かりやすく、細かく伝えてもらう。
- 言葉の説明のみで不十分であれば、書き出してもらい、見える形にしてもらう。文章だけではイメージしづらい場合は、図や表を用いてもらう。
大人の発達障害の相談
職場でご自身、もしくは身近な方が発達障害かもしれないと思った時や困った時は、企業内カウンセラーか、発達障害者支援センターで相談してみましょう。
仕事だけでなく、家庭や日常生活のさまざまな相談に応じてくれます。また、二次的な症状としてうつ状態や不適応を感じている場合は、大人の発達障害を専門に診ている精神科・心療内科を受診しましょう。お薬による治療や、環境調整などのサポートが得られます。
企業にとって、メンタル不調のある社員のケアをすることは大きなメリットにつながります。社員のメンタル不調が緩和されることで、事故やミス、欠勤などによる労働損失が減り、生産性の向上につながるからです。
発達障害の傾向を持つ人は、周囲から「努力が足りない」など誤解されてしまうこともあります。
しかし、本人は真面目に取り組んでいることが多いのです。仕事の伝達の仕方などを工夫することで、本人の能力が発揮され、パフォーマンスが向上することがあります。周囲の人も、本人の特性をよく理解して、職場全体でサポートしていきましょう。