「自分のことは自分が1番理解している」は思い込み?
「自分のことは自分自身が一番よくわかっている」と思っている人はきっと多いのではないでしょうか。でも状況や場所によって、少なからず自分自身を演じているうちに本当の自分がわからなくなってしまったという人もいるかもしれませんね。
実際、わかっていると思っていても実はよくわからないのが自分だったりします。本当の自分は自分が思っているよりもずっと複雑です。たとえわかった気になっていても、実際は一部分しか気づけていないというケースも多々あります。
本当の自分を知るためには?
ジョハリの窓
本当の自分を知るためには、アメリカの心理学者であるジョセフ・ルフト とハリー・インガムが考案した「ジョハリの窓」というツールが役立ちます。これは、人間の自己領域を格子窓にたとえたものです。以下の図を見てください。
このように窓(領域)は4つにわかれています。
- 自分も他者もわかっている開放領域
- 自分のみがわかっている秘密領域
- 他者のみがわかっている盲点領域
- 自分も他者も知らない未知領域
本当の自分を知るには自己開示が大切!
上記の中で、自分自身で把握しているといえるのは、解放領域と秘密領域です。秘密領域にある事柄を他者に公開することで、それが自己開示となり、結果としてその事柄が解放領域へとうつります。
また、他者とのコミュニケーションが密になれば、自身では気付いていないことに気付く機会が増えます。その結果として、盲点領域が開放領域に変わることもあるでしょう。
これを見てわかるように、他者と関わりあうことによって初めて、それまで知らなかった自分に気づくこともあるのです。また、他者のおかげで自分自身を客観視することができ、成長できるということもあるかもしれません。他者は自らを映し出す鏡なのです。
未知領域には無限の可能性がある!?
秘密領域や盲点領域が狭まれば、その分、未知領域に脚光があたるようになり、自分自身がそれまで気付かなかった潜在的な自己が見つかる可能性が高まります。
未知領域は、無限の可能性を秘めているのです。もちろん、自分の中で大切にとっておきたい事柄は無理に開示する必要はありません。自分の中にある様々な事柄を、この4つの領域に当てはめてみることで、それまで見えていなかった本当の自分に気付かされることもあるかもしれません。悩んでいる時にはぜひ試してみてくださいね。
20答法
もう1つ、本当の自分がわからないという方におすすめの診断方法があります。
それが、アメリカの心理学者であるクーニとマックパーランドが考案した「20答法」です。こちらは、あいまいな刺激に対する反応をもとに心理を分析する投影法の一種で、実際に大学の心理学の授業でも取り入れられています。
本当の自分がわかるかも!?実際に診断してみよう!
それでは、ここで実際に20答法を用いて診断してみましょう。
やり方は簡単!「私は……」で始まる文章の続きを20個考えてみてください。制限時間は5分です。
実際に紙などに書き出すのが良いでしょう。
「私は~歳です」などのごく簡単な文章でOKです。
いかがでしたか?制限時間内に全ての文章を完成させられましたか?一見簡単そうですが、実際やってみると全部埋めるのは難しかったのではないでしょうか。
一般的に、はじめは皆、性別や出身地、職業などの個人的な特性を挙げる傾向にありますが、それが尽きてしまうと、自身が抱えている欲求が明らかになってきます。
そしてさらに進んでいくと、今度は自身が無意識に抱えているような悩みや欲求が答えとしてあらわれてきます。問いかけが単純で、答え方も定められていないので、本当の自分が出てきやすいと言われています。
友達や家族にやってもらうのも◎
20答法は、友達や家族にやってもらうのも有効です。その場合は、「あなたは……」という文章で、先ほどと同じように20個文章を考えてもらいましょう。もしかしたら、あなたのこれまで気付いていなかった長所に気付くことができるかもしれません。客観的に自己を診断してもらうのにも最適なツールです。先ほどご説明したジョハリの窓にも通ずるものがありますね。
まとめ
今回は、本当の自分を知るために役立つ「ジョハリの窓」と「20答法」についてご紹介しました。
普段普通に生活する中ではなかなか本当の自分に気付けないもの。今回ご紹介した2つの診断方法を活用して、本当の自分を知るための手がかりにしてみてくださいね。