マインドフルネスと心理学的「自動操縦状態」

「マインドフルネス」という言葉をご存じですか?マインドフルネスは、瞑想とヨガを基本とした治療法として日本でも定着しつつあります。心理学的に見れば、抑うつ感を引き起こす「自動操縦状態」から抜け出す事と共通点があると言えるでしょう。

マインドフルネス瞑想

ちょっとやってみましょう♪

今から、簡単にできるエクササイズをやってみましょう。まず、椅子に座り、身体をリラックスさせた状態で、15分間何もせずにただじっと「呼吸に集中」してみてください。

マインドフルネス
…さて、いかがでしたか?

実際やってみると分かりますが、
「…このあと、あれをやらなきゃ。終わったら、あれも…」
「…あの時、ああ言っていればあの人を怒らせずにすんだかな…」
「…これって何のためにやってるんだろう…意味あるのかな…」
なんて様々なことを考えて、呼吸に集中できなかった人もいるかと思います。

それだけ私達は、日常的にたくさんのことを考えて、それによって頭の中が一杯になっていると言えるのではないでしょうか。これを心理学では「自動操縦状態」と呼びます。私たちは、歩いたり、食器を洗ったり、テレビを観たり、自動車を運転したりしている時、自分ではそのことに集中しているつもりでも、案外、他のことを考えながら生きています。

自動操縦状態から抜け出す

しかし、心と身体が別々のことをしているというのは、実は目の前のことに集中できていないということでもありますよね。しかも、それは意識をしてやっているわけではありません。

ですから、自動操縦状態にある時に、ネガティブな思考が出てきたとしても、気づきにくいとも言えます。ネガティブな考えにとらわれていることに気づかないでいると、よりその考えは強まって、抑うつ感を引き起こす場合もあります。うつの症状では、辛かったこと、悩んでいること、不安なことなどがぐるぐると頭の中をめぐります。ですが、先ほどの「今この瞬間」に呼吸していることだけに集中することで、ネガティブな考えを深めず、「自分はなんてダメなんだ」などという否定的な価値判断もしにくくなります。

だからこそ、自動操縦状態にいることに気づき、意識的にそこから離れることが出来るようになることが大切です。

今この瞬間に注意を向ける

マインドフルネスの第一人者であるジョン・カバット・ジン氏は「マインドフルネスとは、意図的に、今この瞬間に、価値判断することなく注意を向けること」としています。

自動操縦状態から抜け出すためには、日頃から、自動操縦状態で生活するのではなく、瞬間瞬間、自分の注意がどこにあるのか気づきながら生活していることが大切です。様々な状況に、自動的に反応するのではなく、もっと選択的に関わることが出来るよう、気づきを増やしていきます。

マインドフルな状態で日常を過ごすことによって、集中力を高めたり、自分の気持ちをコントロール出来るようになります。不安やうつ、ストレスの減少にも効果があると実証されています。

日常的にマインドフルな状態でいられるためには、勉強や運動と同じように、普段から、繰り返し練習することが大切です。

マインドフルネスのエクササイズ

意図的に、今この瞬間に、価値判断することなく注意を向けるという「マインドフルネス」。実際どのようなエクササイズがあるのか、実践法を紹介していきたいと思います。

呼吸法と一緒に

椅子に座り、体をゆったりさせます。足は床にしっかりつけて、背筋を伸ばします。腹式呼吸をします。腹式呼吸では、お腹に手を当てたときに、お腹が膨らみ、吐くときにへこみます。息を吐くときは、なるべく長く吐くと良いでしょう。最初のうち、上手くコツをつかめないようであれば、あおむけで行うとお腹の膨らみが感じられやすくなります。

これは、「目の前のことに意識を集中させる」ということであり、呼吸に意識を集中しているということです。これを、3分程度続けてみてください。タイマーをかけたり、3分くらいのリラックスできる音楽を流しても構いません。

上記のように、エクササイズとして取り入れなくても、意識を集中させることができれば、料理を作る、食器を洗う、車を運転する、植物に水をやる、などの日常的なことでも構いません。目の前の日常的な行動に、丁寧に向き合うことで、マインドフルな状態に近づくと言えます。

イメージと一緒に

イメージを活用すると、つらい考えやコントロールが難しい感情と距離を置くことが出来ます。次のことを、目を閉じてイメージしてみましょう。慣れるまでは、静かで自分が集中・リラックスできる場所が良いでしょう。

<葉っぱのトレーニング>
あなたの目の前に、ゆったりとした流れの川があります。川には、葉っぱが何枚か流れています。その葉っぱの上に、頭のなかに出てきた思考を乗せてみてください。あなたはその様子を、ただ静かに眺めています。

<泡の瞑想>
あなたは、自然に呼吸ができる海の底にいます。あなたは、穏やかにゆっくり呼吸しています。今、あなたの中に出てきた感情や考えを、口から吐く「泡」に入れると、それがすーっと、上のほうに浮かんでいきます。それを繰り返しながら、「今、ここ」にいる感じを味わいましょう。

専門家の元で受けたいなら

いかがでしたか?

マインドフルネスや認知行動療法を専門で行っている医療機関や臨床心理オフィス、クリニックなども増えてきています。グループ向けに行っている場合や、個人で受けられるところもあります。もっとマインドフルネスについて知りたいと思った方は、専門家のプログラムを受けてみるのも良いでしょう。

セルフケアとして、自分自身の為にも、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?