現在、もっとも認知されている心理の資格であり、民間資格ではありますが、認定機関は内閣府認可の公益財団法人であることから、信頼度の高い資格と言えます。
臨床心理士の職域は、教育や医療・保健分野、福祉、労働・産業分野など多岐に渡ります。
臨床心理士とは
臨床心理学に基づく知識や技術を用いて、人間の心の問題にアプローチします。心理職といえば「臨床心理士」と言われるほど、有名で信頼のおける資格です。臨床心理士第1号が誕生したのは1988年、資格所有者は現在約34,504人（2018年）です。
2017年に心理初の国家資格「公認心理師」が誕生しましたが、それによって臨床心理士の資格が廃れるということはなく、今後共存していくことになるでしょう。
臨床心理士の求人例
| 【雇用形態】 | 正社員 |
| 【応募条件】 | 臨床心理士、看護師、保健師、精 神保健福祉士、企業でのメンタル 対応経験３年以上 |
| 【勤務地】 | 大阪府大阪市 |
| 【給与＆月収例】 | 想定年収400～600万円 |
| 【仕事内容、他】 | 顧客企業（約10事業所）の定期 訪問、個別面談や復職支援、研修 講師（宿泊を伴う出張アリ） |
| 【雇用形態】 | 正社員（試用期間5ヶ月） |
| 【応募条件】 | 看護師/薬剤師/臨床検査技師/管理 栄養士/臨床心理士/ＭＲ/臨床⼯ 学技士/理学療法士/作業療法士 |
| 【勤務地】 | 全都道府県 |
| 【給与＆月収例】 | 想定年収350～480万円 |
| 【仕事内容、他】 | CRC（治験コーディネーター）と して、医療機関において医学的 判断を伴わない治験業務の支援 |
| 【雇用形態】 | アルバイト・パート |
| 【応募条件】 | 臨床心理士、学校心理士、発達心 理士などの資格をお持ちの方 |
| 【勤務地】 | 埼玉県日進市 |
| 【給与＆月収例】 | 月給17.9万円～23.1万＋各種手当 |
| 【仕事内容、他】 | 子どもの発達に心配のある保護者 の方への発達相談、福祉サービス を利用する為の巡回相談業務 |
※雇用形態としては、常勤より非常勤の方が多いでしょう。非常勤で、いくつかの職場に勤務している方も多いようです。
臨床心理士の仕事の内容
心の問題を抱えたクライアントの相談に応じ、さまざまな臨床心理的技法（例えばカウンセリングや心理検査など）を用いて問題解決のサポートをします。病院や学校などが代表的な職場となります。学校で働く心理カウンセラーの多くは「スクールカウンセラー」と呼ばれています。
臨床心理士インタビュー
臨床心理士になるには
臨床心理士になるには、特定の大学院を卒業したのちに、試験（正確には資格審査と呼びます）に合格し、資格登録をする必要があります。なお、大学は心理学専攻でなくても、臨床心理士の資格取得（大学院受験）が可能です。年齢や性別の制限はありません。
試験の受験資格を得るためには、いくつかの方法があります。
- 第1種指定大学院を修了する
- 第2種指定大学院を修了後、心理臨床経験1年を経る
- 臨床心理士養成のための専門職大学院（※）を修了する
（※）専門職大学院…専門的な知識や実践経験を増やし、実践家を養成するのを目的とする学校
第2種指定大学院の場合は、大学院卒業後、心理臨床経験が1年必要になります。ですので、可能であれば第1種指定大学院に入学した方が良いでしょう。
臨床心理士講座・スクール比較
通信制の大学院もあります。
▼２０１８年時点で通信制のある１種指定大学院
東京福祉大学大学院（群馬キャンパス）
人間総合科学大学大学院（さいたま市）
佛教大学大学院（京都市）
吉備国際大学大学院（岡山県）
いずれにせよ相応の日数のスクーリング（通学）は必須です。
他に、医師免許取得者で、取得後、心理臨床経験が2年以上ある人や、諸外国で上記と同等の教育歴+日本国内での心理臨床経験が2年以上の人も、試験の受験資格を得ることができます。
※心理臨床経験…病院などの医療機関や、心理相談機関などでのカウンセラーとしての経験を指します（有給であることが原則）。ボランティアなどの活動の場合は、心理臨床経験とは認められていません。
臨床心理士試験・費用・就職先など
試験
試験は、毎年10月に一次試験（筆記＝マークシート＋小論文）、11月に二次試験（口述面接）が行われ、合格発表は通例で12月中旬となります。
また、5年毎に資格の再認定を受ける必要があります。
費用
※大学、大学院の学費のほか、
初期費用：1,500円（資格申請書類）、30,000円（資格審査料）、50,000円（登録料）
維持費用：20,000円（満5年ごとの更新が義務づけ）＋学会などに参加してポイントを取得する必要があります。
就職先
保健、医療分野：病院、診療所、精神保健福祉センターなど
社会福祉分野：児童相談所、老人福祉施設、地域包括支援センターなど
教育分野：学校、教育センターなど
産業・労働分野：ハローワーク、労働相談所など
司法・犯罪分野：裁判所、更生保護施設、刑務所、少年院など
カリキュラム
第一種指定校の場合
臨床心理士の資格審査を受験する院生は、以下の5群に分けた選択科目群の中から、各1科目2単位以上を修得することとされています。
［A群］
心理学研究法特論
心理学特別演習
心理統計法特論
資格所有者の満足度
常勤の求人が少なく、多くは非常勤での勤務になるので収入的に不安定になりやすいでしょう。また、資格試験という面でみれば、合格率はほぼ毎年60%程度で難関であり、その割には安定した職には限りがあるので、費用対効果が低いという意見もあります。ただ、相談内容が多岐にわたるため、勉強になることも多く、やりがいは充分にあります。
臨床心理士のキャリアと将来性
職場にもよりますが、結婚後、また育児中も比較的仕事を続けやすいという利点があります。資格所有者は必然的に院卒などの「高学歴」となるため、専門職以外では、期待する報酬と見合わないなど需給の「ミスマッチ」が起こる可能性があります。ただ、心理系の求人では臨床心理士の有資格者を条件としているところが圧倒的に多いので、心理職に就きたいという方は、臨床心理士の資格取得を目指すのが良いでしょう。