前ページ<< 営業職から適応指導教室、そしてスクールカウンセラーに
東京都出身。現在は滋賀県大津市にカウンセリングルームを開設。地元に密着した相談や発達障害カウンセリング等で、悩みを抱えた方に居心地よく感じていただけるカウンセリングルームを目指している。平行して、専門学校や企業でのメンタルヘルス研修講師(官公庁研修、ハローワーク求職者支援講座)、電話・メール・スカイプなどでの遠隔カウンセリングやコラム執筆なども手掛ける。
–カウンセリングのときに、気をつけていることはどんなことでしょうか?
私は、対面のカウンセリングでも、スカイプカウンセリングでも、なるべくブレザーのような襟のついた服を着るようにしています。
カウンセリングは、非日常的なものだと思っているので、「場をつくる」という意味で、きちんとした服装で臨むようにしています。
例えば普段着で、いかにもお母さんっぽい格好になってしまうと、その人の母親イメージが投影(※2)されてしまうかも知れませんので…
–カウンセラーとしての悩みを、お聞かせいただけますか?
心の悩み、ではないのですが、最近気づいたのが、カウンセリングのときに(話に集中してしまって)息を止めてしまうことがあり、呼吸が浅くなっていることです。
体に力がはいってしまって、肩こりにつながっている気がします。自分の健康維持は、大事ですね。
–カウンセリングをされていて、こういう相談は多いな、と思われることはありますか?
私の場合は、特定のジャンルの相談に偏っている…という事はないと思います。
ただ、カルチャーセンターの心理学講師の仕事をしていた時は、女性から育児や女性同士の人間関係について、よく相談されました。そこから、カウンセリングの申し込みをいただくこともたまにあります。
–飯代さんは「臨床発達心理士」の資格もお持ちですが、大津市で開かれているカウンセリングルームでは、発達障害に関する相談も多いのでしょうか?
いろんな内容の相談があり、発達障害に関するご相談も、もちろんあります。特に他のカウンセリングルームと比べて多いかと聞かれると、それはわかりません。
ただ、専門の発達検査用具(積み木やパズルなど)は高価ですので、小さな個人のカウンセリングルームでは導入しているところは少ないと思います。
私のカウンセリングルームでも取り入れていませんので、きちんと検査してもらいたいケースは、病院など他の専門機関にお願いしています。
—カウンセラーライフでは、皆さんに「恩師」についてもお聞きしています。あるいは、心理学やカウンセリングの分野で尊敬している方、影響を受けた方はいらっしゃいますか?
影響を受けた心理学者と言われれば、臨床心理士の生みの親である河合隼雄先生です。もうお亡くなりになってしまいましたが、私の中では大きな存在で、行きづまった時、迷った時に著書を読み返します。学生の頃から影響を受けています。
カウンセリングの仕事をするようになってからも、本当に河合先生のおっしゃる通りだなと感じられるようなエピソードもたくさんありました。
例えば、「(クライエントの状態が)急に良くなっても、喜んではいけない」というようなお話は、教訓として今でも肝に銘じています。
–以前から人間の心理について興味があり、本を読まれてきたことが活きているのですね。今はどのような形で、心理を学んでいらっしゃいますか?
世の中で流行っていることは必ずチェックするようにしています。本ばかり読んで、世間知らずになってしまってはいけないと思っています。
最近は、専門書よりも、むしろ精神障害の当事者が書いた本を読んだり、取り上げられているドラマなどを見ています。すべてそのまま受け取るわけではありませんが、専門書には書かれていないクライエントの心理の勉強になるだろうと思います。実際に、「この人はなぜ、こういう行動をしてしまうのか」という動機の部分で、参考になったこともありました。
統計や研究のみ重視する流れが最近あるような気がします。もちろんそれも大事ですけれど、数字だけが重視されるようにはならないで欲しいという気持ちはありますね。
(※2)例えば母子関係で問題を抱えているクライエントにとって、カウンセリングに影響を及ぼす可能性がある