実はこれには理由があるんです。今回は、禁止されればされるほど、その禁止された行為をしたくなってしまう心理について考えていきましょう。
「カリギュラ効果」とは?
禁止されるとその行為をしてみたくなる心理効果のこと!
「カリギュラ効果」とは、禁止されるとその行為をしてみたくなる心理効果のことを言います。
カリギュラという言葉の語源は、1979年にアメリカで公開された映画「カリギュラ」から来ています。実はこの映画、あまりに過激な内容のために、上映を禁止する州が出てきてしまいました。
しかし、そのことで逆に話題性が高まり上映禁止になっていない州まで、この映画を見に足を運ぶ市民が続出するという現象が起こりました。この背景には、禁止されればされるほどその行動を取りたくなるという人間心理が働いています。
カリギュラ効果は、日本の昔話にも裏づけられている!
カリギュラ効果は日本の昔話にも裏づけられています。例えば、「ツルの恩返し」では、ツルが人間の女性に姿を変えて、自分を助けてくれたおじいさんとおばあさんに恩返しをします。
ツルは、布を織る姿を決してのぞかないように言いますが、おじいさんは、好奇心に勝てずその姿をのぞいてしまいます。また、「浦島太郎」でも、浦島太郎は開けてはいけないと言われた玉手箱を開けてしまいます。昔から現代まで人間のこの心理は変わっていないと言えそうです。
カリギュラ効果の活用例を紹介!
このカリギュラ効果は、恋愛やマーケティングについても活用されています。
それぞれ見ていきましょう。
恋愛におけるカリギュラ効果
「好きになってはいけない」と思う相手ほど、思いは募ってしまう…。こんなことはありませんか?例えば、教師と生徒の恋や、不倫の恋など。「ロミオとジュリエット」も禁断の恋を題材にしていますね。このカリギュラ効果、うまく活用できれば恋愛において優位に立てるかもしれません。
例えば、恋人がモテる場合、相手が浮気しないか不安になってしまいますよね。こんな時、直接的に「浮気しないでね」と言ってしまうと、カリギュラ効果が働いて、相手は浮気をしたくなってしまいます。そこで有効なのは、あえて浮気ではなく別のことで「○○しないでね」と言うこと。他の事柄を禁止することで、相手の気持ちがその禁止された事柄に向かいやすくなり、浮気心が生じにくくなると言われています。
また、片思いや気になっている相手にはあえて興味のない振りをすることも有効です。相手がモテる人ほど、逆にこちらが興味のない態度を取ることで、相手が意識しやすくなります。ただ、あまりそっけない態度を取ると、嫌われていると相手が勘違いしてしまう可能性もありますので、ほどほどにするようにしてくださいね。
マーケティングにおけるカリギュラ効果
マーケティングにおいても、カリギュラ効果を活用することができます。
例えば、ネット広告で「興味がある人以外は見ないでください」という文言を見かけたことがあるかも知れません。これも「禁止」を使った作戦です。また、禁止以外にも、通販などで、「○○な人限定」などの言い回しが使われているのもカリギュラ効果を活用した販売戦略と言えるでしょう。
人は、禁止だけでなく、限定にも同じような心理が働くのです。それ以外にも「完全予約制」や「○○までのスペシャル価格」などのキャッチコピーにも人は惹きつけられやすいと言われています。制限や禁止、また見ている人に特別な感じを出すことで、その商品やサービスに付加価値をつけ、消費者の購買意欲をあおっているのです。
禁止や制限を使うのは確かに効果的ではありますが、あまりにそのハードルを高くしすぎると、逆に消費者の購買意欲は下がってしまいます。先ほどご紹介した恋愛面でもそうですが、何事もほどほどにするのが良さそうですね。
カリギュラ効果と似た心理効果
カリギュラ効果と似ている心理効果として、「心理的リアクタンス」というのものがあります。
これは、アメリカの心理学者であるジャック・ブレームにより提唱されたもので、自分の意見や行動を他人から強制されたり、制限されたりした時に反発し、自分の意見に固執しやすくなる心理効果のことを言います。例えば、親が子供に「勉強しなさい」と言えば言うほど、子供は反発して勉強する気をなくしてしまいがちになります。
自分の行動を他人に決められたことで、選択の自由が奪われるので、つい反発する態度をとってしまうのです。
「リアクト」は物理用語で、「反抗」「反発」を意味します。
まとめ
今回は、禁止すればするほどその行為がしたくなってしまうカリギュラ効果についてご紹介しました。
一見、怖いようにも思えるカリギュラ効果ですが、恋愛やマーケティングのシーンで活用することも可能です。ぜひ今回のコラムを参考に、このカリギュラ効果を日常に取り入れてみてくださいね。