青い鳥症候群とは?もし、自分が「青い鳥症候群」かもと思ったら…

「この部活じゃ自分のやりたいことが出来ない」とか、「この学校は自分にふさわしくない」「もっと自分に合った仕事があるに違いない」……

すぐにこのように考えて、次々と自分の所属している場所を変えてしまう人、いませんか?

青い鳥症候群の由来

「青い鳥症候群」という言葉を聞いたことがありますか?

モーリス・メーテルリンクの童話「青い鳥」に由来し、1983年、精神科医の清水将之氏が同名の著作の中で提唱したものです。

この「青い鳥」は…孫の病気を治すための青い鳥を老婆から探してくれと頼まれたチルチルとミチルの兄妹が、青い鳥を探す旅に出るものの、旅では青い鳥を見つけられず、帰ってきてから、飼っていた鳥が青くなっていたことに気づくという結末から、幸せは気付かないだけで、身の周りにすでにあるものだということを示唆する童話です。

清水将之氏は、この教訓をもとに、理想と現実とのギャップに不満を感じるあまり、理想を求めて次々に新しい物を求めようとする傾向を「青い鳥症候群」と名付けました。当初は、高学歴の20代後半に多いとされていましたが、最近では、高校生~30代前半の世代にも見られます。また、このような若者の特徴は日本独自であるとも言われています。

終身雇用が当たり前ではなくなっている昨今、転職自体は珍しくありません。実力が伴っていて、自分の能力や技術を活かすために転職し、次の職場で力を発揮できている人は、転職を繰り返していても、「青い鳥症候群」には該当しません。

青い鳥症候群の人の場合は、実力がないのに、自分をもっと評価してくれるところがどこかにあるはずだ、と思って転職を繰り返すため、どこでも満足することができないのです。

例えば、このようなケースがあります。

【20歳A男】
A男は、小さい頃は母親の言うことをよく聞く、いわゆる”良い子”で、親の勧めで中学受験をし、大学付属の中学に入学。そのまま付属の高校へ進学したものの、周囲が低レベルに感じられ、難関大学への受験を考えるようになった。しかし、受験勉強を始めると、学校の成績は下がっていった。

青い鳥症候群 A男 学生

母親は毎日、勉強をするよう声をかけ、様々なアドバイスをしたが、本人は聞き入れず、徐々に反抗的な態度を見せるようになった。「学校の成績は関係ない」との一点張りで、学校でも進路指導があったが、担任への反抗的な態度が目立つようになった。

結果、志望校の合格が叶わず、付属大学より偏差値の低い大学へ入学し、仮面浪人することになる。一年後、今度は付属大学よりも少しレベルの高い大学に入学できた。しかし、大学1年の前期には「自分の勉強したかった事はこんなことではない、再受験する」と言い出し、大学に通わなくなってしまった。

このA男さんのケースでは、自分の居場所に納得が出来ず、外の世界へ飛び出そうとしたところまでは特に問題はなかったかもしれません。しかし、実力が伴わない状態が続いていたにもかかわらず、周囲の意見を聞き入れず、現実を直視せず、周囲を見下し、実力以上の物を追い求め、得られた後も、満たされることがありませんでした。

青い鳥症候群の原因は?

【社会面】

青い鳥症候群の原因の一つは、それまで当然であった終身雇用制度が揺らぎ始めた時代に、転職をする人々が増えてきた社会の変化によるものと言われています。その頃から時代は進み、現代では転職が当たり前のものになっているので、更に拍車がかかっているかもしれません。

【家庭面】

また、もう一つの原因は、親子関係のひずみにあるとされています。特に中学生前後、いわゆる思春期、反抗期を迎えるあたりの関係性が影響を与えているようです。

子どもは成長していくうえで、2度、親離れをする時期を迎えます。

最初の親離れは、生後5~36か月ごろで、心理学では、第一の分離・固体化期と呼びます。この時期、子どもは母親を自分と別の存在であると知り、離れたり、戻ったりの練習を繰り返しながら、徐々に母親と離れても安定していられるようになっていきます。例えば、母親がすぐそばにいなくても、だんだんと、母親を探さずに、泣くことなく遊べるようになります。

2回目の親離れは、11,12歳ごろ、一般的には思春期や反抗期といい、心理学では第二の分離・固体化期(ブロス,P)と呼びます。この時期は、精神的な自立・親離れをする時期ですが、この頃の子どもは通常、親と異なる意見を持ちます。その意見を主張した時に、親から見ると「反抗」と捉えられやすいのですが、実際には反抗しているというよりも、自己主張が出来るようになったと言えます。親と異なる意見を持っても、それを主張し続けられることで、精神的に自立が出来るようになるのです。

この中学入学頃の第二の分離・固体化期に、親が子どもの自主性を妨げてしまうことで親子関係のひずみが生まれ、青い鳥症候群になりやすくなると言われています。

青い鳥症候群の人の性格特徴

青い鳥症候群 性格の特徴

青い鳥症候群の人には、次のような性格の特徴がありますが、大抵の場合、本人に自覚はありません。

・尊大さ

自分を過大評価しやすい。今いる環境で、何ら結果を出していないにもかかわらず、思い上がった態度を示しやすく、謙虚さが感じられない。

・完璧主義

自分が100%納得できる結果でないと不満。他人にも完璧さを求める。

・協調性のなさ

異なる立場や考え方の人と協力することが苦手。集団活動において、相手の意見を尊重することが難しく、自分の意見を強く主張するが、周囲を納得させる根拠や見通しが乏しい。

・機転が利かない

新しい環境に置かれると、どうすれば良いか分からなくなってしまう。突然の状況に対応することが苦手。

・こらえ性のなさ

我慢して待つことができない。新しいことを始めても、結果が出るのを待てず、やめてしまう。

以上が、青い鳥症候群に多くみられる特徴ですが、幼い頃は親の言うことをよく聞く、手のかからない良い子で、中学校入学前後に、反抗期らしい反抗期が見られない場合も多いようです。

青い鳥症候群の予防

「青い鳥症候群」は「治す」となると、多くの場合、本人や家族のカウンセリングが必要になるなど、長い時間と大変な労力を必要とします。ですので、「青い鳥症候群」にならないための予防がとても大切です。

そのためには、まず親は、中学生になる頃の子どもの自己主張を踏みにじらないことが重要です。

現代は核家族化、少子化、一人っ子が増えたことなども関係して、自然と家庭での教育熱が上がり、過干渉になりやすいですが、本人が伸びようとしている力を抑えつけないように気をつけましょう。

具体的には、

  • 勉強をしろと言い過ぎない。
  • 進路を親が決めない。
  • 交友関係に過度に口を出さない。

などです。

親からすれば、思春期の子どもの言動は、危なっかしく見える時もあるでしょう。しかし、自分のやりたいようにやってみて、時には失敗したり、傷つくということを自らが体験してみなければ、自分の行動に責任を持ったり、現実に向き合うことがいつまで経っても出来ないままになってしまいます。

なるべく幼いうちから本人の好きなようにさせてみてください。子ども自身が自分の人生を選んでいくことを尊重することが大切なのです。

もし、子どもに対して過干渉になっているかも…と心配になった時は、自分の趣味を楽しんだり、新たに勉強を始めてみるなど、親自身が子ども以外のことに関心をもつようにしてみることをお勧めします。

もし、自分が「青い鳥症候群」かもと思ったら…

もしも、これを読んで、自分が「青い鳥症候群かも…」と思ったあなたは、理想が現実にならない苦しさから解放され、本当の意味でのより良い人生とは何かを考えられるチャンスです。青い鳥症候群から抜け出すために、次のことを取り組んでみましょう。

現実の自分を受け容れる

これまでの自分を振り返りながら、今現在の「現実の自分」を受け容れてみましょう。そのためには、謙虚さを持つ、異なる意見を持つ他人の意見を聞く、完璧さにこだわらないということが大切です。

自分の考えと親の考えを区別する

青い鳥症候群の人には、「自分自身の希望」と思っていたものの中に、実は親の希望だったことが複雑に反映されていることがあります。「親の希望」と「自分の希望」を分けて、本当は自分自身はどのように生きていきたいのかを考えることから始めてみましょう。

カウンセリングを受けてみる

親子関係のひずみは長い間に築き上げられたものですから、脱するには、大変な時間や労力がかかるかと思います。ご自身だけで抜け出るのは難しいでしょうから、カウンセリングを活用されると良いでしょう。また、親御さんが協力的であったり、カウンセリングに抵抗がなければ、親子カウンセリングを受けられると、更に良いでしょう。

青い鳥症候群は親子の問題であり、社会の問題とも言えます。ただ、「人生は理想通りに完璧に進まないのが当然」「理想通りでない人生を送ることが不幸とは限らない」という考えを今からでも持ってみることで、苦しい状況から抜け出し、本来のより良い人生を送ることが出来るようになることでしょう。