巷には、部屋の片づけに関する本が溢れています。しかし、読んではみたものの、どうも自分には合わない、また、実践してみたけれど上手くいかない、そんな経験をしたことはありませんか?
なぜ、片付けることができないのか…。今回は部屋を片付けられない原因とその対策について考えていきます。
部屋が汚い原因と対策
まずは、多くの人が陥っている原因と、その対策法をいくつか挙げてみたいと思います。
後回しにしてしまう心理
部屋を片付けたい、そのための時間をとりたい…!と思っていても、毎日仕事で多忙な人や、休みの日も出かけたい人は、家で過ごす時間が必然的に少なくなります。
また、散らかった部屋が気になっていても、外でエネルギーを使い過ぎてしまうので、家に帰ると、「もうこれ以上動けない…部屋は汚いけど、片付けはまた今度でいいか」という心理状態に…。
これは、脳が「家は身体を休め、充電する場」と認識しているからだと言えます。自分のやるべきこと、やりたいことが家の外にあるので、ある意味、これは仕方がない状態なのかもしれません。
だからと言って、このまま部屋を散らかしたままでいいのかというと、そうもいかないですよね。このタイプの方は、片付けをする予定日の2、3日前から、外での活動を控え目にして、片付けのためのエネルギーを貯めるといいでしょう。そうすることで、家での「片付け」というイベントにエネルギーを使うことが出来ます。
キレイな部屋に「束縛」されたくない心理
実は、「部屋を片付けたい」と思っていても、心の底では、実はそれほど変化を望んでいないという人もいます。このタイプの人の多くには、片づけ=自由を束縛されるという意識があります。
一度片付けたキレイな部屋を維持するために、「使ったら元の場所にしまう」、「物の置き場所を決めておく」など、自然と決められたルールってありますよね。これは部屋の片づけに限ったことではありません。普段、職場や家庭などで、いろいろと束縛されている人にとっては、散らかった部屋は、全ての束縛から逃れるための一種の楽園なのです。
また、芸術肌の人にとっても同じことが言えます。散らかった部屋は自分一人の秘密の楽園です。そこをキレイな部屋に変えるのは、何か自然に反するような気がする…のかもしれません。
なぜか、片付けに抵抗感があるという人は、片付けというよりも、アート感覚で家具や小物を配置してみましょう。ルールは決めず、気まぐれに楽しんでみて下さい。
元々片付けられない?!
片付ける日を決めて、ちゃんと片付けているのに、よけいに部屋が散らかってしまう、また、片付け前とあまり変わらないような気がする「片付けオンチ」の方。実は元々、片付けられないという特性を持っているのかもしれません。
小さい頃から「優先順位を決めるのが苦手」「捨てるという決断が出来ない」などの特性があると、片付けは本人にとって、とても苦痛なものだと思います。そういう場合は、一人で何でもかんでも抱え込まずに、お手伝いやお掃除の専門サービスにお願いする、というのも一つの手です。
また、大きな箱を用意し、あえて分類せず、とりあえずしまっておくという「なんでも箱」を作っておくのも良いでしょう。ただし、「なんでも箱」をずっとそのままにしておいたら、元も子もありません。定期的に見直しして、今後「使わない」「必要ない」と思ったら、手放す勇気を持つようにしましょう。
「片付けられない…」に潜む病気とは
ADHD(注意欠陥多動性障害)
部屋が汚い状態がなかなか改善しなかったり、生活に大きな支障をきたす場合には、「ADHD(注意欠陥多動性障害)」や「溜め込み障害」の可能性があります。
「ADHD」は、「授業に集中できない(不注意)」、「椅子に座って落ち着いていることができない(多動性)」、「自分の順番が待てない(衝動性)」などの症状をもつ子どもの病気を指します。そのまま自覚なく大人になってしまい、うまく社会に適応できなかったりして苦しんでいる方もたくさんいます。「部屋の片付けができない」のは、この中の「不注意」に当てはまります。
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溜め込み障害
溜め込み障害は、一般的には価値がないと思われるものを集めて、捨てられなくなってしまう病気を指します。「溜め込み障害」は遺伝的要素が強いと言われており、優柔不断な性格や日々のストレスなどが原因で起こりやすいとも考えられています。症状は、11~15歳くらいから始まることが多く、「ADHD」と同様、こちらも徐々に日常生活に支障が出てきます。
このように、部屋が汚くても片付けられない背景には、もしかしたらこんな病気が潜んでいるかもしれません。もし、これを読んで気になった方は、心療内科・精神科の医師などに相談し、診断を受けるようにしてくださいね。