アダルトチルドレンを正しく知るために

アダルトチルドレンとアルコール依存症

「アダルトチルドレン(AC)」という言葉をご存知ですか?最近では日本でもよく聞かれるようになり、すでにご存知の方もいらっしゃるでしょう。しかし「アダルトチルドレン」という言葉が間違った解釈のまま広まってしまったこともあり、はっきりとした定義は分からない方も多いと思います。

アダルトチルドレンについて正しく知り、ご自身の、そして周りにいる大切な人たちの心の理解を深めませんか?

アダルトチルドレンとは

まず、「アダルトチルドレン」という言葉は、病名でもなければ医学用語でもありません。

「アダルトチルドレン」とは、もともとアメリカで生まれた言葉です。
アルコール依存症の親の下で育ち、成人後も深刻な悪影響を及ぼしている人について、「アダルトチルドレン・オブ・アルコーリックス(ACOA)」と呼ばれるようになりました。また、次第にそれが発展し、機能不全家庭で育ち、成人になっても心理的外傷として残っている人を「アダルトチャイルド・オブ・ディスファクショナル・ファミリー(ACOD)」と呼ばれるようになりました。

最近では、より広い意味でこの言葉を使用しています。

親からの過剰な期待、過保護、過干渉、無視、精神的虐待、暴力(言葉による暴力も含む)など、条件付きの愛情によって子供時代を歪められて成長した人、そしてメンタルケア(心理療法)が必要な人のことを「アダルトチルドレン」と呼んでいます。

アダルトチルドレンに対する誤解

日本においては、1990年代にマスコミなどによって紹介されましたが、英語を直訳して「子供っぽい行動をする大人」「大人になりきれていない子供」と解釈され、そのまま乱用される結果となりました。

アダルトチルドレンとは、いわば「子供でいられなかった子供」「大人として生きなくてはならなかった子供」のことを言うのですから、本来のアダルトチルドレンの概念とは、真逆の意味に誤解されてしまったわけです。

このように誤った解釈のまま乱用されたこともあり、今日では専門家のあいだではアダルトサヴァイヴァー(Adult Survivor)と呼ばれる場合もあります。

子供の時から始まる

小さな子供にとって、親の庇護を失うことは命に関わります。どんなに酷い親であったとしても、その親の愛を得ない限り子供は生きていけないのです。そのため、自分の感情や肉体を犠牲にしてでも、親の愛を得ることを優先します

例えば、親が過保護なら、子供は自由を放棄して親の過保護という支配に耐えます。また、親から虐待を受けても、それは親の愛情と思い込むことで、その状況に適応しようとするのです。

アダルトチルドレンは親の愛を失うことを最も恐れており、親に見捨てられないように、親の理想通りに振る舞うことが、日常となっていきます。

こうして、機能不全家族の中で生きていくために、子供は子供なりに自分の役割を見出していくのです。

アダルトチルドレン(子供)のタイプ

子供たちが家庭で演じる役割には、次のようなタイプと特徴があります

ヒーロー(Hero)
エリートに多く、家の問題を表沙汰に出さないために、成績やスポーツで活躍しようとします。自分を犠牲にし、親の虚栄心のために頑張り続けます。また、自分が活躍して両親の目を自分に向けさせることで、両親の不仲が一時解消されるなど、家族の平和のために頑張ります。
スケープ・ゴート(Scapegoat)
無意識的に、家庭の内外で虐待・いじめのターゲットになります。これは自ら生贄となることで、家の問題を「全てはこの子のせい」という幻想を抱かせ、家族の真の崩壊を防ごうとしているためです。自己犠牲こそがその子供の生きる意味となっています。
ピエロ(Clown)
家族間の不穏な雰囲気を敏感に察知して、一人でふざけてバカなことをしでかしては、関心を自分に引き寄せようとします。自分に目を向かせることで、兄弟姉妹が犠牲者になるのを阻止しようとしている場合もあります。そのため、本当は悲しくても明るく振舞い、いつも明るいムードメーカーとして生きようとします。
リトル・ナース(Little Nurse)
長女に多く、犠牲になった家族を守り世話を焼くことに、自分の存在意義を見出します。これは本来親がするべきことですが、自らがこの役割を果たすことで、家族間の争いを避けようとしているのです。
イネイブラー(Enabler)
イネイブラーとは「支え役」という意味で、子供らしく遊ぶこともなく、すべて親のため、家庭のために生活します。親に代わって家事全般を担ったり、親の配偶者役や兄弟の親がわりになります。母親にとっての父親役、あるいは父親にとっての母親役として、情緒的近親姦に陥りすいと言えます。
プラケーター(Placater)
プラケーターとは「慰め役」という意味で、暗い顔をして溜息をついている親(多くは母親)を慰め、なだめる役です。末っ子に多く、小さいカウンセラー的な役割をします。自分を犠牲にして、親のわがままを無条件に許し慰めるなど、献身的に尽くします

ロスト・ワン(Lost One)
家族内の人間関係を離れ、身の安全を守るため、存在しないようにふるまいます。家族で集まっていても、いつの間にか身を隠したことに、誰も気が付かないほど存在を消して生きていきます。
ロンリー(Lonely)
親や家庭から理解されない悲しみを背負い、自分の殻に閉じこもります。心は悲しみに満ち溢れ、自己表現することを放棄します。
プリンス / プリンセス(Prince / -cess)
親は子供の意思を無視して、まるで人形のようにかわいがります。一見すると、愛情をたっぷり与えられているように見えますが、本人の意思が無視され、時には踏みにじられている点で精神的虐待と言えます。自分の感情を出すことは許されないため、楽しい子供時代を過ごすことは出来ません。

いくつかのアダルトチルドレンの特徴を挙げてみましたが、いかがでしたでしょうか?

もちろん、これらの特徴が全てではないですし、いくつかの特徴を併せ持っている場合がほとんどです。

>>次ページ:大人になったアダルトチルドレンの特徴的な思考

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